松井秀は最強ＤＨ！史上最多タイ２５発

　◆ヤンキース５ｘ―４ブルージェイズ（１６日・ニューヨーク）　ヤンキース・松井秀喜外野手（３５）がブルージェイズ戦に「５番・ＤＨ」で先発し、１回の適時打に続き８回に２５号同点２ランを放ち、今季１４度目のサヨナラ勝ちに導いた。指名打者での２５本塁打は１９８４年のＤ・ベイラーに並ぶ、ヤ軍史上最多記録。チームに２５発が４人はＬ・ゲーリッグ、Ｊ・ディマジオらがいた３８年以来７１年ぶりだ。今季４８度目の逆転勝利で地区優勝マジックは「１１」、２年ぶりのプレーオフ進出へのマジックも「４」となった。

　大きな歓声が一発の価値を表していた。２点を追う８回１死一塁。「本塁打を打てる球が来た」。松井は左腕・ダウンズの外角へ逃げていく７５マイル（約１２１キロ）のカーブを振り抜いた。打球は右中間席へ届く０７年以来となる２５号２ラン。同点を祈った地元ファン４万６０４６人の願いをかなえてみせた。

　“ヤ軍最強ＤＨ”の襲名だ。今季、松井が放った指名打者での２５本塁打は、８４年のＤ・ベイラー（現ロッキーズ打撃コーチ）に並ぶ球団最多。松井は「巨人に以前、コーチでいましたよね」と２０年近く前の記憶を呼び起こした。メジャー通算３３８本塁打のベイラー氏は９０年、藤田監督の下で春季キャンプに臨時打撃コーチとして、現役時代の巨人・原監督らを指導。２５年ぶりに並んだ記録は、不思議な縁で結ばれていたのかもしれない。

　サウスポーキラーだ。２４号３ラン（１３日・オリオールズ戦）も、左投手の外角低めのスライダーだった。この日の２安打も２人の左腕が投げた外角の変化球。５５番は「体が止まらないと打てない」と打ち気に走ると体は開くが、外角攻めの多い左投手だと意識的に開きが抑えられると分析。両ひざの痛みも安定しており、「食らいついていける」と下半身に粘りが生まれていることが好調の要因だ。２５本のうち左腕から１２発で、左打者ではレイズのペーニャに並ぶリーグトップに立った。

　１９４３年の球団記録１７度には及ばないが、サヨナラ勝ちは今季１４度目。松井の同点アーチでヤ軍は４選手（テシェーラ、Ａロッド、スウィッシャー）が２５本塁打に到達。“２５発カルテット”はＬ・ゲーリッグ、Ｊ・ディマジオらを擁した３８年に並ぶ球団最多。松井は世界一を目指す強力打線に不可欠な存在となった。

　◆３８年は圧勝で世界一　１９３８年のヤンキースは、３年目のＪ・ディマジオを中心にＴ・ヘンリック、Ｊ・ゴードン、Ｆ・クロゼッティらの若手に、３５歳のベテランだったＬ・ゲーリッグの強力打線。７、８月に４８勝１３敗の快進撃で抜け出し、２位に９・５ゲーム差をつけて優勝。ワールドシリーズでもカブスに４戦全勝し、メジャー初の３年連続世界一となった。