松井１号！規格外パワー見せつけた！！

５回無死一、二塁、右中間へ３ランを放った松井（左はハンター、中はアブレイユ）

　◆オープン戦　エンゼルス８―６ロイヤルズ（２４日・アリゾナ州テンピ）エンゼルス・松井秀喜外野手（３５）が出場１０試合目で移籍後初アーチを放った。ロイヤルズとのオープン戦に「４番・ＤＨ」で先発出場し、５回に右中間フェンスを越える豪快な３ラン。本塁打の直前に放った右翼後方への場外ファウルがエ軍オーナーのアルトゥーロ・モレノ氏（６９）の愛車のフロントガラスを直撃し、破壊。規格外のパワーを見せつけ、赤ゴジラがついに目を覚ました。

　ついに本領発揮だ。オープン戦で初めて組んだベストオーダーの中心に座り、松井のバットが火を噴いた。３点リードの５回無死一、二塁。ロ軍・テヘダのチェンジアップを強振。「（打撃は）少しずつ良くなっていましたからね。状態がいいので対応できたのだと思います」。オープン戦２８打席目で待望の一発は、約１１０メートルの右中間フェンスの向こうへと消えた。

　不安を払しょくするアーチだった。一時はオープン戦の打率が１割台に低迷。「結果は気にしていなかった」とはいえ、松井の打撃の状態を不安視する声も球団内から上がっていた。１回にも中前安打を放ち、今季初マルチとなる２打数２安打１四球。３試合連続安打という結果で周囲を黙らせ、自分で“窮地”を救った。

　エ軍での記念すべき初アーチは、球場外で起きた“大ピンチ”をも救った。本塁打の前に特大ファウルを右翼後方の駐車場に放ったが、この打球が何とモレノ球団オーナーの高級車を直撃。「松井の本塁打の前のファウルが飛んできて、あの黒い車に当たったのを見た」と、車を止めていたロ軍のバス運転手は証言。推定２０００万円以上もするベンツのフロントガラスを破損してしまった。

　これにはさすがのゴジラも、打球の豪快さとは対照的に戦々恐々。「あの後、ホームランを打ったので怒りは多少、収まっているとは思いますが…」。ファウルボールにおわびのメッセージを込めたサインを入れ、広報に託した。「打球が飛ぶところに普通、車を止めないでしょう。せめてオーナーが止めるとこはガレージ造ってほしいよね」。反省どころか、施設に注文をつけてそそくさと帰っていった。

　試合後、愛車に戻ってきたモレノ・オーナーは大人の対応だった。破損した場所が運転席とは逆の席だったため「妻が座る席だから私には関係ないよ。それにしても今日は素晴らしかった。松井には６０本塁打くらい打ってくれればいい」とおとがめなし。それどころか、松井の謝罪入りサインボールが気に入ったようで、ずっと握りしめていた。

　３回には四球で出塁し、次打者の内野ゴロで実戦で初スライディングを見せるなど、公式戦を見据えた動きも取り入れた。「プレーの流れの中でできた。怖さはなかったです」。次回の左翼守備も２６日の敵地・ジャイアンツ戦に決まった。万全をアピールし、開幕４番に向けて総仕上げに入る。