Ｖ打請負人・松井！今季６勝中３度の殊勲打！！

チームが３連勝となりナインをハイタッチで迎える松井秀喜（後方中央）

　◆ブルージェイズ１―３エンゼルス（１８日・トロント）　エンゼルス・松井秀喜外野手（３５）がブルージェイズ戦で先制タイムリーを放つなど、４打数２安打１打点の活躍でチームを今季初の３連勝へ導いた。両軍無得点で迎えた６回２死二塁、メジャー通算２００二塁打となる適時打で先制すると、１―０の９回にも追加点のきっかけを作る左中間二塁打。今季６勝中、Ｖ打は３度目と、自慢の勝負強さを新天地でも発揮。チームからの信頼は高まるばかりだ。

　越えてくれ―。松井はボールに思いを乗せた。両軍無得点の６回２死二塁。好投を続けるエ軍先発サンタナに先制点をプレゼントしたかった。「素晴らしい投手戦でしたから。（ブ軍先発ロメロも）最後まで素晴らしかった。でも僕のときだけは甘い球が来ましたね」。ロメロの１４６キロの直球。援護したい一心でバットを振り抜いた。完ぺきにとらえた打球は中堅フェンスで弾んだ。

６回２死二塁、メジャー通算２００本目打となる中越え適時二塁打を放った松井秀喜

　メジャー通算２００二塁打で貴重な先制点。そして２本目の二塁打で勝利を呼び込んだ。１―０の９回無死。ブ軍２番手・ダウンズから放った打球は左中間を真っ二つに割った。代走が送られ、松井はベンチから戦況を見守った。続くモラレスの強い打球を一塁手・オーバーベイがトンネル。後を託した走者が生還すると、笑顔でハイタッチ。松井から始まった９回の攻撃で奪った２得点が試合を決めた。

　節目の数字に到達した松井の二塁打はメジャー移籍後、急増した。試合数の関係もあるが、ヤンキース１年目の０３年に４２本、３年目の０５年には４５本。巨人時代では９６年の３４本が最高だった。

９回無死、左中間にこの試合２本目となる二塁打を放った松井秀喜（捕手はバック）

　「（メジャーでは）打球が上がらなくなったから。だから本塁打が減って、二塁打が増えたんだと思う」。移籍直後の二塁打の増加で、メジャーではホームランバッターとしてまだ通用しないことを感じとった。メジャー投手への対応力を高め、ボールをより遠くへ飛ばすため、試行錯誤を重ねた。松井が積み重ねた二塁打には、葛藤（かっとう）と努力の変遷が詰まっている。

　メジャー８年目。月日の経過とともに考え方も変わった。「でも今は本塁打でも二塁打でもチームが勝てばいいんだよ」。その言葉を試合で体現した。今季３度目の“勝利打点”はチームトップ。勝負強い４番の活躍で、今季初の３連勝となった。最下位を脱出し、ア・リーグ西地区２位タイに浮上した。「勢いというかしっかり戦えている。これが続けばいいですね」

　ハンターが休養して開幕から先発出場し続けているのは５番モラレスと２人だけ。遠征を４勝２敗で終え、１９日から本拠地で１０連戦。松井の力で一気に首位へ躍り出る。