エンゼルス松井、安打デビュー！開幕４番見えた

４回２死、オープン戦初安打となる中前打を放つ松井

　◆オープン戦　エンゼルス６―５パドレス（９日・テンピ）　【テンピ（米アリゾナ州）】エンゼルスの松井秀喜外野手（３５）が、パドレスとのオープン戦に「４番・ＤＨ」でヒットを放ち、新天地でのデビューを飾った。昨年１１月のワールドシリーズ以来の実戦だが、きっちり“初”安打をマーク。チームメートやファンから大きな拍手が送られた。ソーシア監督の４番起用に結果で応えたことで、２年連続の開幕４番も視界に入った。

　肌寒い空気の中、温かな歓声が松井を包み込んだ。「ＷＥＬＣＯＭＥ　ＭＡＴＳＵＩ！」（ようこそ　マツイ）。「ＣＯＭＥ　ＢＡＣＫ　ＮＥＷＹＯＲＫ！」（ニューヨークに戻ってきて）。スタンドからの声援に背中を押されるように、打席へと歩を進めた。「実戦はワールドシリーズ以来でしたので、なんか久しぶりだなあって感じがしました」。平静を装っても新たな挑戦のスタートに心は躍っていた。

　最初の打席は空振り三振に倒れたが、４回２死で迎えた第２打席。２番手・リズの９２マイル（１４８キロ）のストレートを中前にはじき返した。これが移籍後“初”ヒット。例年と違って、今キャンプでは味方投手と対戦形式での打撃練習は行っていない。投手の生きた球を打つのは約４か月ぶりなのだが、「２打席目は多少、慣れました」。実戦感覚を一瞬で取り戻すあたりに、順調な調整ぶりがうかがわれた。ヤンキース時代、オープン戦初戦に「４番」で臨んだ昨年は開幕戦も４番に座っている。本番でも“定位置”の打順が完全に視野に入ってきた。

　前夜の８日。松井は９年連続ゴールドグラブ賞のハンターとヤンキース時代も同僚だったアブレイユが音頭を取り、スコッツデール市内のレストランで開催された“ウエルカム・パーティー”に招かれた。「トリイ（ハンター）、昨日は本当にありがとう」。試合前のクラブハウスで、ごちそうになった松井が礼を伝えると、隣に座っていたハンターは「（食事の代金は）２０００ドル（約１８万円）だよ」とサプライズな高額請求。もちろんジョークだが、これに松井も「大丈夫、ボビー（アブレイユ）が全部払うから」と応酬。するとアブレイユは、その横でぶ然とした表情を見せた。朝から笑顔で充満する並びの３人のロッカー。この明るさが、新顔の松井の心を楽にした。ヤンキース同様、良き仲間にめぐり合えたことが、これだけ早くエンゼルスに順応できた一番の要因だ。

　ソーシア監督も大きくうなずいた。「松井はトリイやボビーからも信頼され、若手もプロフェッショナルな彼（松井）を見ている。チームにとって大きい」キャンプインからまだ２週間。８年ぶりの頂点を目指すチームにとって、松井は存在そのものが不可欠なピースとなった。