松井秀新球場１号！復活予カ～ン４１打席ぶり２号２戦連続マルチ

１４回１死一塁、カブレラのサヨナラ本塁打で勝利し喜ぶ松井

　◆ヤンキース９ｘ―７アスレチックス＝延長１４回＝（２２日・ニューヨーク）ヤンキース・松井秀喜外野手（３４）が新ヤンキー・スタジアムで公式戦初アーチを放った。アスレチックス戦に「７番・ＤＨ」で先発出場。３点を追う２回１死から、反撃の口火を切る２号ソロを右中間席にたたき込んだ。６日の開幕戦（対オリオールズ）以来、４１打席ぶりとなった５５番の一発から打線は息を吹き返し、延長１４回にサヨナラ勝ち。７打数２安打１打点と２戦連続マルチ安打のゴジラが、今季２度目の３連勝を呼び込んだ。

　メモリアルアーチは松井らしい一撃だった。３点を追う２回１死。ア軍左腕アンダーソンの９２マイル（約１４８キロ）、真ん中低めの直球に対応。「完ぺき。おそらくずっと記憶に残ると思います」新ヤンキー・スタジアム６試合目、１８打席目で右中間スタンド中段へ放り込んだ。４万３３４２人のファンが沸くと、カブレラも左翼への２者連続弾。打線は目を覚まし、逆転劇への扉を切り開いた。

　「本塁打も見せることができたし、喜んでいると思う」と、父・昌雄さんら家族が観戦する前での豪快弾を振り返った。「結果を出していけば試合に出られるでしょう。結果を出していくしかない」打てなければ、スタメン落ちする現状。ダイヤモンドを回るときの厳しい表情が物語っていた。

　松井の打撃にゴールはない。「本塁打でも凡打を打っても反省はします」理想を追い求める中で飛び出した公式戦での新球場１号。恩師の長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督を抜く日米通算４４５号を放ったのは、敵地でのオリオールズとの開幕戦。出場１２試合ぶり、４１打席ぶりの今季２号だった。

２回１死、右越えに今季２号のソロ本塁打を放つ松井

　昨年９月に受けた左ひざの手術直後のことだった。大きな体で「不動心」を語る松井でも、不安でじっとしていることはできなかったのだろう。術後は安静を強いられ、走ることすらできなかった。そこで松井は新聞紙を手にとった。それを丸めて、テープでとめ、ボールを作った。外で打てない分、室内で“打撃練習”をひそかに行い、ミートポイントなどを確認。地味な作業で静かに復活へ向け、動き出していた。

　クラブハウスでも患部を意識して、慎重にゆっくりと座っている。「いい状態にはなっていると思う。こうやって勝ててよかった」サヨナラ勝利に貢献した充実感で満たされた。２戦連続マルチ安打、３試合続けて先発出場、４試合連続安打と調子は上向きだ。松井は勝利のために戦い続ける。

　◆本塁打乱れ打ち　新ヤンキー・スタジアム最初の６試合で２６ホーマーが飛び出した。新球場では、１９５５年にフィラデルフィアから移転したアスレチックスの新ホーム、ミュニシパル球場が同じスパンで２５本塁打したのを超える新記録。５５番の一発も増えるかもしれない。