第15回 そしてもう一人は・・・

     ワタクシが学生の頃に所属していたサークル「東京水産大学Beat Sharks Jazz 
    Orchestra」は毎年、武蔵工業大学のと東京商船大学のJazzのサークルと三校合同の定期演
    奏会を行っていました。その定演のときに知り合ったのが、武蔵工のベースだったキムラ君
    でした。

     当時フュージョン、特にラテン・フュージョンが非常に流行っていた時代で、ワタクシも
    「Beat Sharks」以外に「Local Band」というラテンフュージョンBand、というより
    「松岡直也&Wesing」のコピーバンド(オリジナル曲も半分)にも参加していまし
    た。

     ある日キムラ君と電話で話をしていると、
    「僕、松岡直也の娘さんと同級生なんですよ」
    なんて言うではありませんか!
    「今度是非紹介して!!!!」
    そしてしばらく後に、とあるパーティー(何のパーティーだったか覚えていませんが)に
    キムラ君が連れてきてくれたのです、松岡さんの娘さん「アッチ」を。

     それ以来、彼女とはたまに電話で話をするようになりました。また、Wesingのライブに
    は必ずと言っていいほど聴きに行っていましたので、そんな時には楽屋に挨拶に押しかける
    ようにもなりました。

    その話を「Local Band」リーダーの「イシイ」さんにすると
    「もう12〜3年前に、日比谷野外音楽堂で松岡直也オールスターズの演奏を初めて聴く機
    会があって、その時に確か『The Emerald』っていうタイトルの、すっごい良い曲を演奏し
    ていたんだ。その曲は松岡さんのどのアルバムにも入ってないんだけど、「Local Band」で
    演奏したいなと前々から思っていたんだ」

     そこで電話で松岡さんの奥さん、アッチのお母さんに相談したところ、
    「多分松岡は、楽譜は全部とってあると思うから、探して今度のライブのときに持っていっ
    てあげる。」
     僕ら「Local Band」のメンバーは大感激!

    新宿厚生年金会館でのライブ終了後、楽屋を尋ねていくと約束違わず譜面を差し出して
    「これは松岡のオリジナルの譜面なの。写しは取ってないのよ。もしこれを無くされると困
    るからコピーを取ったら返してね。」
    と、鉛筆書きの譜面を貸していただけました。6月頃だったと思います。

     メンバー分のコピーを取り、譜面をお返ししました。そして夏休み期間中にその曲、
    『The Emerald』を練習し夏が終わる頃にその成果である、リハーサルの演奏を収録したカ
    セットテープを松岡さんに、
    「お陰様で、念願適って『The Emerald』を演奏することが出来ました。こんな風になりま
    した。もし出来ましたら演奏に関してのコメントを頂ければと思います。」
    楽譜を借りた上に、こんな厚かましい文面の手紙を同封して送ってしまいました。

     それから数週間後、電話した際に松岡さんご本人から、各パートそれぞれに対しての丁寧
    なアドバイスを頂いたことを今だに感謝してます。

     また、その年の秋に後にも先にも初の「Local Band単独ライブ」を神田の宮地楽器で行っ
    た際ホーンセクションのメンバーの知り合いということで、ナント「松岡直也&Wesing」
    のオリジナルメンバーの「武田和三」さんが、そのライブの最後の曲「Noche Corriendo」
    (綴り、合ってるカナ?)で共演頂いた感動も、ワタクシの記憶に鮮明に残っています。


Irie Profile