学術情報処理研究 No.1 1997 pp.123-124

センター紹介 岐阜大学総合情報処理センター


岐阜大学総合情報処理センター専任助教授 原山美知子

岐阜市柳戸1-1、TEL/FAX +81-58-293-2714
harayama@info.gifu-u.ac.jp


 岐阜大学総合情報処理センタは、岐阜大学のメインキャンパスである柳戸キャ ンパスの中にあります。柳戸キャンパスは,岐阜市の中心街から長良川を渡って 北西の田んぼの中にあって、もともと湿地だったところです。 長良川は水が清 いということなどで全国的に有名ですが、確かに町中の流れでも飲めそうにみ えるくらいです。 小さい魚が足元を泳いでいたりして,夏の水遊びに恰好の場 所ですが,川は川ですから、ときどき県外から来た人が事故に遭ってしまうの は大変残念です。 また、柳戸キャンパスの北は裏手から飛騨山系につながる山々 が始まっていて、そのせいか、6月から夏場にかけてはよく落雷があります。
 本センタは、1964年に学内共同利用施設として電子計算機室が発足しまし、75 年に名古屋大学と専用回線で接続しました。 81年、柳戸キャンパスへ統合移転 し、83年には情報処理センターが発足しました。また、医学部・附属病院のあ る司町キャンパスには情報処理センタ分室が設置されました。 96年、文部省の 省令化施設として総合情報処理センタが発足し、現在に至っています。
 発足以来、他の情報処理センタと同様に、主に学術計算用の大型計算機のサー ビスを提供してきたセンタですが、92年、SINETに接続後、学内LANの整備が徐々 に行われて、UNIXワークステーションによる情報ネットワークサービスが重要 となりました。 97年3月のシステム更新では、学術研究システムに並列スカラー コンピュータ、ベクトルコンピュータ、マルチメディア環境の導入を果たしま した。 また、全学向けの情報処理教育システムのサービスが強化されまし た。 現在、センタのサービスの柱は、学術研究システム、情報ネットワークサー ビスシステム、情報処理教育システムの3つになっています。
 学術研究システムでは、スカラー並列計算機として、SUN Enterprize7000(UltraSPARC- 64bit 16CPU, 2GBMM)が設置されています。 ベク トル計算機は、Fujitsu VX1(2.2Flops, 2GBMM)です。 また、ファイルサーバ を置き162GBのHDをユーザに提供しています。 主なソフトウェアは、数式処理: Mathematica、MapleV、統計処理:S-plus、構造解析等: ANSYS、衝撃解析: DYNA-3D、NIKE-3D 反応性流体解析:KIVA3、αFLOW、分子軌道計算GAUSSIAN94 などです。 マルチメディア関連では、SGI Indigo2 Maximum IMPACT2台、O2 2台,コマ撮り録画装置としてACCOMを置いています。 マルチメディア、可視化 ソフトウェアとしてはIris Explorer、AVSを提供しています。
 情報ネットワークサービス関連では、94年にFDDI準拠ネットワークを基幹とす るLANが敷設され,センタで情報ネットワークサービスを開始しました。 96年に 基幹622MbpsのLANEmulation方式ATMネットワークが敷設され、現在2つのネッ トワークがデュアルに稼働しています。 情報ネットワークサービスシステムは、 これらのネットワークを管理するもので、6台のワークステーションが分散的 に管理しています。 岐阜大学には4つのキャンパスがありますが、柳戸を中 心にして、司町キャンパスと1.5Mbps、その他のキャンパスとは192Kbpsで接続 しています。 対外的には、名古屋大学と柳戸が1.5Mbpsで接続しています。また、 工業技術センタなどの近隣組織に接続サービスを行っており、現在、4組織が 接続しています。 このような情報ネットワーク環境を支える組織は、岐阜大学 キャンパスネットワーク技術専門委員会です。 各部局から選出された委員から なり、主に情報ネットワークに関する技術検討および分散管理を行い、変化す るネットワーク事情に対応しています。
 情報処理教育システムでは、柳戸地区の135台を中心とした185台のパーソナル コンピュータを置き、全学に対して,情報処理教育の環境を提供していま す。 内容は、情報ネットワーク(電子メール、WWW)、コンピュータリテラシ (ワープロ,表計算,描画)、コンピュータ言語(C, FORTRAN, Visual BASIC), UNIXワークステーションのネットワーク利用などです。
 総合情報処理センタは、岐阜大学に籍をもつ学生・教職員は誰でも利用できま す。登録申請は、主に学部学生用、教職員/4年生/院生用に分かれており、学 部学生は情報処理教育システムを利用することができます。 教職員/4年生/院 生用は、学術研究システムおよび情報ネットワークサービスを受けることがで きます。事務部のコンピュータ利用が進む中、組織名や管職名でも登録申請で きるようになりました。 また,年1、2回広報を発行しています。 定期講習会 では主にシステム使用方法のインストラクションを行い、年2回の講演会では、 他の大学や企業の方を講師に招いて、コンピュータ技術動向を講演していただ いています。
 総合情報処理センタには、現在、センター長(兼任)、専任教官1名、技官3 名,技術補佐員1名がいて業務に当たっています。 しかし、多くの業務をこれ だけのメンバですべてこなすのは難しいため、センタ協力員制度を設け、教官 が総合情報処理センタに協力する体制が整っています。システム部門、ネット ワーク部門、講習会部門、広報部門、WWW部門があります。 毎週月曜日の午前 中に業務ミーティングを開き、業務スケジュール、業務内容と問題点を整理し 検討します。 また、毎月、業者定例会を開いて問題点などを話合い,計算機と ネットワークの滑な運用を目指しています。
 総合情報処理センタの建物は、農学部と工学部に挟まれた二階建てのこじんま りした建物で、83年に情報処理センタが発足して新営されたものです。一階に は、事務室兼受付、オープン入出力室、共同利用の端末室、センター長室、二 階には大型計算機用のCPUルーム、特殊機器室、会議室、マニュアル庫、 センター協力員控え室などが設置されました。
 今年度はさらに建物が増築されることになりました。 新棟は三階建てで,一階 に受付、サービス紹介コーナー、図書雑誌閲覧コーナーを設置し、学生や教職 員が気軽に立ち寄って、ソフトを体験したり、情報収集できるような場所を提 供したいと思っています。 二階にはワークステーション主体で、センターマシ ン講習室、研修室マルチメディア製作室、マルチメディア実習室を置く予定で す。 三階は、南側全体が学生演習室で、主にパソコンを置き、コンピュータリ テラシーから言語まで全学の学部生向け教育に利用する予定です。 増築に伴い、 現建物の玄関を広げ、天井もやりなおすことになりました。周辺道路も整備す ることになったので、現センタは今、ほとんど孤立状態です。 それでもネット ワークも計算機も止めるわけにはいかないので、センタ職員は嬉しい悲鳴を あげながら騒音、埃、振動、オーバーヒート、停電と戦っています。 12月竣工 予定で、遅くとも来春にはマシンや部屋の運用も落ち着くと思いますので、ぜ ひお立ち寄りください。



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