学術情報処理研究 No.1 1997 pp.115-122

センター紹介  富山大学総合情報処理センター


富山大学総合情報処理センター 高井正三

富山市五福 3,190 
TEL:0764-45-6947 FAX:0764-45-6949 
takai@cns.toyama-u.ac.jp


1.富山大学総合情報処理センター概要


1.1 設置目的

 富山大学総合情報処理センターは、情報処理システム、情報通信システム等を運用 管理し、本学における研究、教育及びその他の業務のための共同利用に供することに より、本学における情報処理の円滑かつ効率的な推進を図るとともに、情報システム の普及活動を通じて、地域社会の発展に資することを目的として設置されています。

1.2 業務

 総合情報処理センターは、その目的を達成するため、次の業務を行っています。
  ・情報システムの運用管理
  ・研究、教育及び業務のための情報処理サービス
  ・データベースの整備活用及び学術情報の提供
  ・学内外の情報通信サービス
  ・情報処理システムの研究開発
  ・情報処理教育の支援
  ・情報システムの利用についての技術指導
  ・その他センターの目的達成に必要な事項

1.3 情報システムの設計

 本学の総合情報処理センターの第6世代情報システムは、1997年2月1日に正 式に公開されました。この情報システムは次に掲げる目標を達成するように設計され 、21世紀へ対応できる情報システムとして計画・導入されました。その設計目標は、
  ・学術研究用情報システムの整備拡充
  ・統合キャンパス業務情報システムの導入
  ・情報システム運用管理の自動化
  ・ネットワーク・システムの高速化のための設備の整備・拡充
  ・教育のための情報システム環境の整備・拡充 です。この設計目標に従って調達した情報システムでは、次の目標を実現してきてい ます。
  ・データ処理需要の高度化、高速化、多様化、複雑化への対応
  ・対話型データ処理環境及びハイパー・バッチ処理環境の整備
  ・アプリケーション・ソフトウェアの整備
  ・データベース・サービスへの対応
  ・キャンパス情報ネットワークの整備/拡充と高速化
  ・学術情報ネットワークの高速化と地域情報ネットワークへの参加
  ・公衆回線/ISDN網の整備/拡充
  ・一般授業でのPC端末の利用
  ・利用者教育研修環境の整備
  ・研究、教育、業務利用端末の整備と分散配置
  ・情報システムの運用と管理の改善
  ・統合業務情報システムの導入への対応
  ・広報活動の支援のためのマルチメディア化

1.4 情報システムの構成

 総合情報処理センター(Computing and Network Services:CNS)の情報システムは 、富山大学内の総合的な情報処理の中枢神経系(Central Nervous System)としての機 能を果たし、学術研究・教育及び事務の諸活動における生産性を向上させることを目 標として設置されています。
 CNSの情報システムは、学術研究の高度化、多様化、複雑化に対応し、国際的に 通用するアプリケーション・ソフトウェアを整備して、研究活動の能率化を図るため 、教育においては国際化とマルチメディア化に対応するため、事務においてはデータ 処理の効率化と業務の合理化を図るため、主として次のシステムから構成されています。
  ・高速科学技術並列計算サーバー IBM RS/6000 SP(8CPU, 135MHz)  1台、
  ・高速科学技術スカラー計算サーバー IBM RS/6000-580 Cluster(2 Proc.) 1式、
  ・高度画像処理サーバー SGI Indigo2 Maximum Impact 2台/High Impact  1台、
  ・大規模データ処理用汎用大型コンピューター IBM 9121-320  1台、
  ・グラフィック・ワークステーション IBM RS/6000-43P  50台、
  ・マルチメディア対応PC(IBM-PC 463台、Apple Macintosh 178台) 641台。

1.5 情報通信ネットワーク・システムの構成

 これらの情報システムは総て富山大学のキャンパス情報ネットワーク(通称:tya-n et )に接続されており、キャンパス内の研究室、実験室から 1,400箇所以上の情報コ ンセントに接続されているPC/WSから、何時でも利用できるようになっています 。PC端末は主として教育用に設置され、人文学部32台、教育学部52台、経済学 部52台、理学部52台、工学部52台、附属図書館30台、総合情報処理センター 50台と、LANサーバー(Windows NT Server/Power Macintosh 8500)各1台がトー クン・リングまたはCSMA/CD型LANに接続されて、各学部の教育用PC端末 室等に配備されています。これらのPC端末は、24時間自由に利用できるようにな っており、総ての学生はどこのPC端末室でも利用できるようになっています。
 研究者が所有するPC端末は、各研究室、実験室に用意された情報コンセントに接 続できるようになっており、トークン・リング型(16Mbps)またはCSMA/CD型(1 0Mbps)LANに接続して、インターネットを何時でも利用できるようになっています 。平成9年9月1日現在、全学で1、840台のPCと180台のWS、40台のネ ットワーク・サーバーが接続されています(情報システム構成図、ネットワーク・シ ステム構成図参照)。



図1 情報システム構成図



図2 キャンパス情報ネットワーク・システム構成図



 これらの情報システムとPC/WSは、国内のインターネット網や大学とはSIN ET(Science Information NETwork) と富山インターネット協議会ネットワーク(Tri ton)に接続されています。
 高速パラレル・サーバー、高速計算サーバー、汎用大型コンピューター・システム 、ネットワーク・サーバー(メール・サーバー、WWW(World Wide Web)サーバー、 ニュース(電子掲示板)サーバー、WWW Proxy サーバー及びDNS(Domain Name Sys tem)サーバーは、終日ノン・ストップでサービスが行われており、本学の職員・学生 ならば、誰でも、何時でも、何処からでも、自由にアクセスして使用できるようにな っています。


図3 パラレルコンピュータ


1.6 情報システムの特徴

 第6世代情報システムは次の特徴を有しています。

 (1)総ての職員にカメラ、マイク、スピーカー付きのマルチメディア/マルチタ スクのPCを配置し、大学の統合業務情報システムを稼働させることを目標にして、 先ず総ての教員(研究者)と係長以上の事務官がPCを使いこなし、インターネット とグループウェアを使用して、研究・教育・事務の活動における生産性を向上させて いること。
 (2)大学統合業務情報システムをグループウェア Lotus Notes をベースにして 開発運用し、情報の共有化と業務の迅速合理化を進め、キャンパス・アメニティを実 現していきつつあること。
 (3)西暦 2000 年対応、GUI(Graphic User Interface)対応の教務情報システ ムを、大学全体として開発・運用してきていること。
 (4)教育用PCには、あらゆる種類のPCとOSを整備し、特定のPC、OS、 言語、アプリケーション・プログラムに偏ることのないようにしていること。
   ・PC:IBM-Personal Computer, Apple Macintosh
   ・OS:PC-DOS, DOS/V, Windows 3.1, OS/2, Windows 95, Windows NT, System 7
   ・言語:Fortran, C, C++, Pascal, REXX, Java, Hyper Talk, Basic
   ・アプリケーション:Lotus Office(1-2-3, Wordpro, Freelance, Notes),
             IBM Works, MS-Word, 一太郎, \LaTeX{
,
             Claris Works, CU-SeeMe, Netscape Navigator, etc.
 (5)マルチメディアPC(カメラ、マイク、スピーカー付き)によるテレビ電話 、テレビ会議(QuickTime Conference)とエージェント・プログラムによる新しいサー ビスの開発・運用が可能になっていること。
 (6)また、これらのサービスがスムースに運用できるように、西暦 2000 年まで にネットワークの高速化が順次実現されてきていること。
 (7)Web Browser からOPAC情報検索が可能になり、本学図書館情報システム を中心とする学術情報システムが拡充・整備され、研究室に居ながらにして図書館書 誌、所蔵情報、学術文献情報などが検索できるようになるとともに、経済学部系研究 者には、日経NEEDSなどの膨大な経済数値データを、またインターネットを利用 して各専門分野毎のup-to-dateな情報を電子掲示板や Web 利用して入手できるよう になっていること。
 (8)メール・サーバーやWWWサーバーが24時間・365日、無停止運転サー ビスを行えるように、フォールト・トレラント・システムとして構築され、運用され ていること。


図4 マルチメディア対応PC


2.総合情報処理センターの情報処理システム

2.1 ソフトウェア・システム

 (1)プログラミング言語
   ・FORTRAN 90/77、C, C++, Pascal, S/390 Assembler, C/370, LISP, PL/I,
    Prolog, REXX, BASIC, Java, Hyper Talk

 (2)ライブラリ・プログラム
  ・ESSL(Enhanced Science Subroutine Library)(並列版/非並列版)
  ・NUMPAC (Nagoya University Mathematical PACkage)
  ・Open GL \& GL V3.2
  ・IMSL (International Mathematical and Statistical Library)
  ・LINPACK、EISPACK、SL-MATH、ACRITH
  ・SLIP, SPIDER, SALS, C-SSL-2
  ・GPFG, GDDM-PGF, GAM/SP, CALCOMP Plotter Subroutine Package

 (3)アプリケーション・プログラム
  ・Gaussian 94(Paralell Version/Scaler Version),
  ・AVS(Application Visualization System),AVS/Chemistry Viewer,
  ・GDDM/graPHIGS(Programmer's Hierarchical Interactive Graphics System)
  ・MOPAC, Amber, Gaussian 92/86,
   ・MARC, MENTAT
   ・Mathematica, REDUCE,
  ・SAS V6.08(統計解析パッケージ)
  ・ICU(Interactive Chart Utility)
  ・DSL(Dynamic Simulation Language/VS(IBM))
  ・GLAPS(Generalized Linguistic Atlas Printing System)
  ・TSP(Time Series Processor (Ver 4.1b))
  ・SHAZAM(Econometrics Computer Program (Ver 6.1))
  ・XCAMPUS, SCA, B34S
  ・FEPACF (Finite Element method Package for ACoustic Field analysis)
    ・ACOUSFEP(ACOUStic problem)、
    ・RADFEP(RADiation problem)、
    ・AXIPIEZO(AXIssymetric Piezoelectric vibrator problem)
  ・Micro CADAM
   ・Plain TeX, LaTeX, AMSTeX (American Mathematical Society TeX)

2.2 データベース・サービス

 (1)日経NEEDS

  ・NEEDS/MACRO ------------------------- 21,780 系列
  ・NEEDS/MONEY ------------------------- 16,135 系列
  ・NEEDS/ENERGY ------------------------- 6,297 系列
  ・NEEDS/CHINA -------------------------- 11,525 系列
 (2)地震震源データベース 1960年以降 ---------------- 約 20 万件
 (3)トリチウム文献データベース 1985年以降 -------------- 2,779 件
 (4)附属図書館書誌・所蔵データベース 1985年以降(OPAC 書誌) 約225,000 件
 (5)経済関係データベース
  ・有価証券報告書(1959年以降) ----------------------- 42,595 件
  ・株価収益率(産業別 --------------------------- 2,152 件
  ・株価収益率(個 別)--------------------------- 357,679 件
 (6)電総研手書き文字パターン・データベース ---------------- 約200,000 件
 (7)朝鮮古書文献データベース 1994年以降 ----------------- 約 1,800 件
 (8)東寺古文書・花押データベース 1995年以降 --------------- 約 35,000 件

2.3 コンピューテング・サービス

 (1)高速パラレル・サーバー:HPPC = IBM RS/6000 SP(8 Nodes)
  ・AIX/6000(Advanced Interactive Executive/6000 V4 ) ------------ IBM UNIX
  ・PSSP(Paralell System Support Program V2) ---------------- 並列システム管理
  ・LoadLeveler V1.1 --------------------------- UNIX バッチ処理
 (2)計算サーバー:HPC = IBM RS/6000-580 Cluster(2 proc.)
  ・AIX/6000(Advanced Interactive Executive/6000 Ver 3.2 ) ---------- IBM UNIX
  ・NQS(Network Queuing System) ---------------------- UNIX バッチ処理
 (3)グラフィック・サーバー:HPGC、SGI Indigo2 Maximum Impact
  ・IRIX Ver.7 ------------------------------- SGI UNIX
 (4)メインフレーム:IBM 9121-320
  ・VM/CMS (VM/ESA R2.2) --------------------バッチ処理・対話処理
  ・OS/390 -----------------------------バッチ処理・対話処理
 (5)グラフィック・ワークステーション:GWS = IBM RS/6000-43P
  ・AIX/6000(Advanced Interactive Executive/6000 V4 ) ------------ IBM UNIX
  ・LoadLeveler V1.1 ---------------------------- UNIX バッチ処理
 (6)パーソナル・コンピューター:IBM PC-340, Apple Macintosh, etc.
  ・DOS J7.0/V ---------------------------- シングル・タスクOS
  ・PC-DOS 7.0 ---------------------------- シングル・タスクOS
  ・Windows 3.1 --------------------------- 日本語ウィンドウズ 3.1
  ・OS/2 Warp V3/V4 ------------------------ マルチ・タスクOS
  ・Windows 95 ---------------------------- マルチ・タスクOS
  ・Windows NT 4.0 -------------------------- ネットワークOS
  ・System 7.1/7.5(漢字Talk 7.1/7.51/7.52) --------- Mac用疑似マルチ・タスクOS

2.4 ネットワーク・サービス

  ・キャンパス情報ネットワーク(tya-net)幹線網
             --- ATM(Fore ASX1000/200BX)622/155Mbps
             --- FDDI(SUMINET-3500H他) 100Mbps
  ・構内トークン・リングLAN
    STP ------------------ IBM Token Ring LAN(トークン・リング)4Mbps
    FDDI網接続 ------------------- Madge Token Ring LAN - 16Mbps
  ・構内イーサネットLAN(工学部、附属図書館、他)------- Ethernet 10Mbps
    ATM網接続CSMA/CD型LAN
    ----- Cisco Catalyst 2100/GeoRim/Edt-Ethernet S/W Hub - 100/10Mbps
    FDDI網接続CSMA/CD型LAN
    ------------------------- SUMINET 8400-Ethernet Hub - 10Mbps
  ・インターネット・バックボーン(SINET)
    ---------- Super Digital 1.5Mbps(Science Information Networkへ接続)
  ・インターネット(Triton)-- 64Kbps(富山インターネット協議会へ接続)
  ・国際学術ネットワーク(BITNET)
    ------------------------- 符号品目 9600bps(金沢工業大学へ接続)
  ・公衆通信回線(30回線) ------------------------ 28.8Kbps(NTT)
  ・ISDN回線(18回線) ------------------------- 64 Kbps (NTT)
  ・公衆/ISDN兼用回線(46回線) ---------------- 33.6/64 Kbps (NTT)
 

 

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