学術情報処理研究 No.1 1997 pp.35-36
学術情報処理研究集会の発足の経緯について
学術情報処理研究集会
運営委員会委員長 田畑孝一
図書館情報大学 〒305-0821 つくば市春日1-2、
TEL 0298-59-1374 、FAX 0298-59-1093 、tabata@ulis.ac.jp
第11回学術及び総合情報処理センター長会議(1996年10月25日)において第8回学術及び
総合情報処理センター研究交流・連絡会議の報告が当番校の愛媛大学総合情報処理センター長村上研二
氏から行われた。その中で「研究交流・連絡会議の形式を研究発表の場にして業績として残すような方
法がないか」との意見が報告された。
大学の一般の教官はセンターのサービスを利用して研究業績をあげているが、一方、センターの教官
はその職務に忠実なほど、言い換えればセンターのサービスに熱心なほど、研究に割く気力と時間がな
くなり、一般の教官のようには研究業績をあげにくい状況にある。その主たる原因は、従来の学会では
センターサービスに関連する工夫や研究を軽んじ、その業績を論文として認めない傾向にあるからであ
る。そのため、センター教官は、別途、サービスの職務に直結しない一般の教官と同様な研究テーマを
もち、職務の合間をみてその研究を行うという、極めて不利な立場に立たされてしまうのである。この
ことは国立大学情報処理センター協議会総会においてもかなり以前からいくども指摘されていることで
ある。
冒頭の意見はこのような状況を改善できないかということであった。センターのサービスを向上する
ための工夫は学術研究の役に立つ立派な研究である。職務に直結したそのような研究を正当に認める発
表媒体が存在しないのであれば、それを研究業績と認める発表媒体を設ければよいのである。
センター長会議からしばらくたってから、ある会合で千葉大学の総合情報処理センター長土屋 俊氏に
会った際に、氏から次回の当番校である図書館情報大学の総合情報処理センター長である私に村上氏の
報告のことを本気で取り組まないかと勧められた。それを起因として思案した結果、研究集会の開催の
みならず、発表媒体として研究誌を創刊し、研究集会の発表論文はもちろん査読付き投稿論文、センタ
ーの業務事例・調査報告、その他種々の記事を掲載するのはどうかという私案を得た。
この考えを提案したところ、土屋氏、村上氏そしてセンター長会議の前当番校、当番校の総合情報処
理センター長仁田周一氏(東京農工大学)、渡邊 亮氏(熊本大学)の賛意を得た。これら各氏に私を
含めた5名を発起人として1996年11月22日付けですべての学術及び総合情報処理センター(計
23センター)を対象にアンケートを行った結果、賛成票19、白票2、未回答2となり、大方の賛同
が得られた。1997年3月13日に研究誌「学術情報処理研究」のための編集委員会、「学術情報処
理研究集会」のための運営委員会・実行委員会が発足した[注1]。なお、研究誌の名称は、アンケート案
の作成の段階で種々検討の結果、土屋氏の提案による「学術情報処理研究(Journal for Academic
Computing and Networking)」となった。
本研究誌の創刊、本研究集会の開催[注2]の企画が実現したのは記事および論文を寄せられた方々の
おかげであり、感謝申し上げる。アンケートの回答に付けられた意見にあったように、今後、研究誌や
研究集会に社会科学、人文科学系からも多くの投稿、発表が集まるように期待したい。
[注1]
研究集会の運営委員会の委員は原則としてセンター長会議当番校と前当番校のセンター長及び研究交流・連絡会議当番校と前当番校のセンター長、委員長は原則として研究交流・連絡会議当番校のセンター長。研究集会の実行委員会の委員は運営委員会のセンター専任教官各1名、主査は研究交流・連絡会議当番校の専任教官。
研究集会は研究交流・連絡会議当番校が開催する。
研究誌編集委員会の委員は研究集会の上記運営委員会、実行委員会の委員で構成、主査は原則として前年度の運営委員会委員長が勤める。
研究誌の発行と配布は研究交流・連絡会議当番校が行う。同時にその電子媒体のものを作成、WWWで発刊する。
[注2]
第1回学術情報処理研究集会
日時:1997年10月3日
場所:図書館情報大学
運営委員会
委員長 田畑孝一(図書館情報大学)
委員 土屋 俊(千葉大学)
仁田周一(東京農工大学)
渡邊 亮(熊本大学)
鵜飼正行(愛媛大学)
実行委員会
主査 松本 紳(図書館情報大学)
委員 山下和之(千葉大学)
萩原洋一(東京農工大学)
和田 武(愛媛大学)
杉谷賢一(熊本大学)