since 14/DEC/96
 
小心者の杖日記
 
ロゴ&ページデザイン BY ゴー
 
331日 (wed)

 吉本隆明「詩人・評論家・作家のための言語論」、唐沢なをき「電脳炎・ウィン版」、片岡吉乃「真剣ゼミ」購入。

 「電脳炎」はウィン版とマック版が同時発売で、巻末のパソコン解説(講師:川崎ぶら)だけ中身が違うとか。くだらないアイデアを実現するエネルギーは、不況下の今こそ評価したいものです。両方買わずにいられないファンは泣いてるかもしれませんが。唐沢なをきは、人の頭を物で殴りつける描写に味があって素敵です。

 片岡吉乃の新刊は「蝶々のキス」とは打って変わって、空回りする気持ちをコメディーっぽく描いた作品が中心。一方で、人間と他の生物との不思議な触れ合いを描いた連作「泳ぐ」のような静かなトーンの作品もあって、この人の芸の幅の広さが分かりました。

 「GAME JAM」もやっと確認。音楽関係のページ紹介の中で地下水道は気持ちよく浮いてます。「地下水道」の成立過程を推測した部分はまさにその通り、気の利いた紹介文が嬉しかったです。

 
330日 (tue)

 前にも書きましたが、4月1日からSo-netはドメインが変更になるので(というか移行は完了していて併用期間が終わる)、ブックマークやメールアドレスが変わります。

旧:so-net.or.jp

新:so-net.ne.jp

 っていうか、面倒くせえぞJPNIC。でもJPNICをシカトしてドメインを変えないプロバイダーも結構あるみたいなんで、言われるがまま変更したSo-netは生真面目に対応して無駄に労力使ったことになるんですかね。仕事ぶりは不真面目なくせにこんなことで。そしてその皺寄せは全部一般ユーザーへ来ているわけですが、ともかくこの日記がアップされる4月1日には、o u t d e xをご覧になるとよろしいかと。縁起物というか風物詩というか自傷行為というか。

 湾岸王・鈴木博文の、オリジナルとしては実に4年ぶりになる新作「Birds」は、最初の1曲を聴いただけでサウンドの瑞々しさに驚かされました。粒の大きな楽器の音がどれも活き活きとして、歌・演奏・楽曲がひとつになって生み出す空気は他とは比べようも無いものに。リラックスした雰囲気は前作「孔雀」と同じなんだけど、ちょっと前屈みで攻勢に出てる感じが嬉しいです。感情の起伏を激しく打ち付けるのではなく、日常に現れては消える愛しさや苛立ちやユーモアを歌い上げ、渋さとともに生み出されたのがこの深み。全体を通しての印象は、まさにブル−ズです。

 今から10年ほど昔、バルカン半島から来たと言い張る3 Mustaphas 3というバンドがイギリスにいて、闇鍋のような音楽で酔狂なワールドミュージック・ファンを狂喜させましたが、彼らが参考にしたひとつはこんな音楽なのかなと思ったのがFanfare Ciocarliaの「Radio Pascani」。ルーマニアのジプシーによる11人組ブラス・バンドです。東欧〜アラブ的な要素が強く、哀愁も滲ませながらかなり陽性。オヤジ揃いで高年齢だと思われるのに、つまづくことも恐れずに23曲を一気に疾走します。音がとぐろを巻いてるような気持ち良さ。

 
329日 (mon)

 ガチャガチャのおもちゃが入ってるプラスティックのケース、あれは2個で120円でした。1個60円というのは小口販売にしても高いけど、ディスプレイされてると意外なほど綺麗なもんです。色とりどりの150円の鉱石とか、立方体や円錐や半球の発泡スチロールが大量にあるのを見てると心躍る図画工作気分になるのですが、実際にここで働いたら1ヶ月もしないうちに仕事は仕事という当然の事実にウンザリするんだろうと考えた、そこは東急ハンズ。しょっちゅう前を通るのにあまり来たことがないのは、素材から物を製作するなんて滅多にしないから。人に連れられて来てみると妙に新鮮です。

 今、だめ連の「だめ連宣言!」を読んでるんですが、そこで提案されているひとつが、少なく働いて少なく稼いで少なく消費するというライフスタイル。でもこういう物欲肯定の場に来てみると、自分がいかに資本主義社会の魔力に囚われているかを深く実感するわけで。

 400〜500円の日本物と比べて輸入物のコーンフレーク類は680円と高いけれど妙においしそう。3色おはぎやみたらし団子の材料セットも。ケーキ用のチョコやアーモンドも見てると食べたくなります。調理用温度計2本とケーキ用のアルミ製の型を買って戻ってきた連れに空腹を訴えていると、そのフロアの隅にはレストランが。うまい仕組みだね。

 値段も味も内装も普通のそのレストラン、でも気付くと客は僕ら一組。罠にはまったネズミのような。

 
328日 (sun)

 日本でのみ発売されたSTEVE REICHの自選ベスト盤「Reich:Exclusive Selection」を購入。2人の手拍子が次第にズレて複雑なビートに変わっていく「CLAPPING MUSIC」や、PAT METHENYのギターのフレーズの積み重ねが重層的なサウンドを生み出していく「ELECTRIC COUNTERPOINT」をはじめとする、現代音楽の巨匠のヒット・パレード大全集。「現代音楽」や「ミニマル」なんて言葉で形容されると難解そうですが、「DRUMMING」などの打楽器を中心に据えた楽曲も非常に気持ち良くてトランス状態を誘発してくれます。「NAGOYA MARIMBAS」でのマリンバ二重奏もスリリングにして心地良く、テクノを聴きなれた耳だと違和感なし。汽車の汽笛と人の声をサンンプリング「DIFFERENT TRAINS」はドラマチックでもあるし、ニューヨークの町の音をサンプリングした「CITY LIFE」には詩情も感じられます。オーケストラとコーラスによる「THE DESERT MUSIC」や舞台作品の「THE CAVE」は、一度聴いただけでは構造が判然としないけど、それが同時に快感にも。メロディー・リズム・ハーモニーという音楽の3要素をいじって実験しながらもこの気持ち良さ。きっと理論と感性を持ち合わせた音楽家なんでしょう。


 
327日 (sat)

 「噂の真相の真相2」、「ストレンジ・デイズ」Vol.2購入。「噂の真相の真相2」は、読者との距離を縮めようとするかのようなフレンドリーさに違和感があって面白いです。ブリティッシュ・ロック専門誌の「ストレンジ・デイズ」は、マニアックな記事が多くて敷居が高いんだけど思うけど、けっこう売れてるみたいで意外。こういう事態は歓迎すべきですな。

 地下水道が紹介されてるらしい、ソニー・マガジンズの「GAME JAM」ってムックは確認できず。売ってますか? 青龍社ってとこから出てる「月刊イメージングジョイ」4月号にも載ったらしいんですが、編集さんから以前もらったメールを確認したら、発売されたのは1ヶ月も前でした。我が子の晴れ姿、いつも見られないまんまです。

 
326日 (fri)

 ありがとうガイナックス、そしてさようなら!

 …なにもそこまで悲観することもないんですが、「彼氏彼女の事情」が「庵野ガイナの事情」と成り果ててしまった最終回には、笑いながら失望しました。あーあ、「王立宇宙軍」からずっとガイナを好きだったのに、なんて思っちゃったりして。いや、破綻するならそれでもいいんです、というかこうなるのは途中から誰の目にも明らかでしたから。ただ、同じように破綻するのでも、もう言い訳の余地すら失ってケツの穴まで晒して恥をかくぐらいのシロモノにして欲しかったと。あの破綻は中途半端です。なにせ僕はエヴァのテレビ版最終回が大好きなんですから。

 最初の2話がえらく面白かった分、その後次第に失速していくのが手に取るように分かる因果な作品でした。紙だったり写真だったりしながらも、時々息を吹き返したように冴えを見せたりもしたんで、結局最後まで見てしまいましたし。僕の見方も、一定のレベルの維持を期待することよりも、瞬間的な冴えをどこまで見せてくれるかに移っていきました。

 しかし暗雲は広がり、よく分からない庵野監督の降板騒動が。クレジットの「庵野」から「アンノ」への変化には、一歩といわず引いてしまった姿勢を感じてしまいました。ファンを引っ掻きまわし続けたエヴァ、それまでのアニメ・ファンの罵声を軽くすり抜ける快作だった「ラブ&ポップ」。でも、どんなに才能ある者でも同じペースをキープし続けるのは困難なことです。原作の持ち味を生かそうとして、ある程度は成功してもいましたが、絶対的なセル量が不足しているために、しばしば唐突な表現手法に転じざるをえませんでした。いや、それさえも庵野監督あるいはガイナックスの持ち味として昇華する選択肢もありましたが、その行き着いた先である最終回は、資金不足で放置された建築現場のような有り様。あの最終回について厳しい見方をすれば、原作の持ち味もガイナックスの個性も出すことに失敗してしまいました。

 庵野秀明という作家は、本来ならばそうした失速さえも情況において対象化し、別の意味付けを可能にする才能の持ち主です。しかし、降板騒動後のアンノヒデアキはそうした役割さえ放棄した雰囲気でした。過剰な思い入れを持って彼のファンである僕はそこに軽い失望を覚えつつ、「しょうがないなぁ」と苦笑いしたのです。こんなことが次も起こらないことを願いつつ。

 niwaさんの話によると、庵野監督による「ガメラ3」のメイキングビデオは面白いらしいんで、口直しにそっちを見ることにします。で、どこで入手できるのよ。

 あと、この方への謝辞を忘れちゃいけません。「カレカノWatch」のはちさん、半年間も毎週この日記へリンクしてくれてありがとうございました。他の紹介されてるページに比べるとうちは不真面目だってのに、いつも的確で気の利いた要約をしてくれて嬉しかったです。

 
325日 (thu)

 自分の内側から聞こえる様々な声を抑えることができずに苦しみ、アルコールに頼り、食べては吐き、1日に何度もコンビニへと通う。赤坂真理の「ヴァイブレーター」の主人公はそんなフリーライターで、人との擦れ合いから生まれるノイズに神経を尖らせている。そして冒頭で延々と続く不快な回想を、他人事と笑ってもいられない我が身も悲しい。おまけにこんな一節が現れたら出口を塞がれてしまう。

 憂鬱とはたとえば書き始める前の、まっさらなパソコンのディスプレイを見ること。
 それがいやであたしは他人の言葉を集めたのかもしれない。他人の話と自分の話が符合すること、自分の言葉が外にあること、世界と自分がつながっているという奇妙な全能感。
 その彼女がコンビニで出会った男に惹かれ、気持ちの赴くままに男のトラックに同乗して新潟まで行き、戻る。物語はそれだけ。そしてこの物語の持つ清々しさは、東京に戻れば全ては過ぎ去り、再び日常が戻って来ることを主人公が知っている点だ。

 表題の「ヴァイブレーター」とはつまりトラックの振動であり、それは観念の渦から身体性を引き戻す。運転手同士で交わされる違法無線の声たちが教えたのは、女の中に溢れる声が過去のトラウマによるものであること。そして、降ってくる雪もセックスも、ひとつひとつの事象は感覚に還元され、新たな意味を獲得していく。

 女が男のトラックに乗るまでの展開はやや安易な気がする。丁寧な取材が逆に虚構としての一面をチラつかせてしまう。中盤から後半にかけてタルい。けれどそんな問題も吹き飛ばしてしまうは、全てを「意味はない」と言い切ってしまうラストの開放感だ。喜びよりも怒りの比重は重く、理性を虚しくさせるほど気分は浮き沈みを繰り返す。今日の希望は明日の絶望の種かもしれない。そんな事実を受け入れた上でのこのラストには意表を突かれたし、ある日気付くと鬱が終わっていた時のような気持ち良さがあった。

 
324日 (wed)

 社会人としての責務というものについて考える時、いつも真っ先に反面教師として現れてくれる憎いあんちくしょう、それがSo-netです。今日はメンテナンスで4時から18時までサーバーが停止かよ長いなぁ、でも今回は事前にメールを寄越したからいいか。そう思いつつ夜になり、快適なレスポンスを期待してウキウキと接続を試みると…ダウンしてるじゃん! So-netホームページ内で会員が一番訪れるページとして名高い「緊急連絡」を見ると、メンテは終了したけど接続できない場合があるので復旧中とのこと。それ、メンテ終わったとは言わねぇよ。やっと自分のページを見られたのは午後11時、かれこれ13時間ぐらい断続的に落ちていたようです。メンテ作業の皆さん、早起きしたんで途中でグーグー寝ちゃったんでしょう。

 そんなわけでダウン中にSo-netのサポートセンターに電話してみたんですが、内容選択で案内される最初のものに驚きました。他の全てに先がけて、ポストペットなんですよ。ポストペットといえばモモちゃん。ピンクのクマ。皆さん、モモちゃんのモデルは「熊ん子」だってご存じでしたか?

 下品なガセを流すのはそのくらいにして。最近はポスペも大人気で、その親玉というだけでSo-netに入会してしまう人もいるほどです。これではSo-netがプロバイダーとしての本分を忘れて副業に熱中してしまうよと嘆きたくもなりますが、実は僕もやってます。とはいえ今までページ上では公開してなくて、相手は以前からの知り合い2人だけ。しかも頻繁なやり取りではないので、いつも部屋にいるペットの下に「だらだらしています」という説明が出てしまいます。男女・左右・躁鬱・コジャレへの賛否を問わず大歓迎、ポスペの使い方が分からない場合以外は返事確実。遂にこんな告知までしてしまった僕は、もうSo-netの家畜も同然です。「ぷらいあ」万歳!(廃刊したよ)

 
323日 (tue)

 スコラが事業停止で解散するそうです。3月は別れの季節ですね…などと学級通信のような文章でセンチメンタルになってる場合ではなく、同社が発行していた「コミックバース」も廃刊、そこで連載されていて単行本が出たばかりである奥瀬サキの「フラワーズ」の続巻も読めなくなってしまいます。そのうち別の出版社から出直すかもしれませんが、スコラから出ている奥瀬サキと冬目景の諸作は早めに捕獲しておいたほうがいいかも。

 書き忘れてましたが、広末涼子の写真集「relax」もすでに買いました。「買ってません」と言っても、「買いました」と言っても、僕は周囲から心配されてしまうのだから不思議です。

 これまでに発売された3冊の写真集はどれも雑誌媒体に載った写真の寄せ集め的な要素が強かったですが、今回は全編撮りおろし。テーマは「広末と大自然、100%ピュアなハートでリラックス」で決まりですね。勝手に。左右のページでカラーとモノクロ、ありは笑顔と翳のある表情を対照的に並べたり、1冊全体でストーリ性を持たせたりしている構成がこの写真集の特徴。あと、身体パーツの拡大写真も多く、フェチの皆さん向け仕様にもなってます。個人的には、それほど長くもない髪を後ろで縛っている写真が新鮮でした。こういうのと比べると、資生堂プラウディアのポスターでの彼女は明らかにメイク濃すぎ。悪い冗談かと思いました。僕だったら…(息が荒くなってきたので略)

 あ、表紙に惹かれた貴殿にお知らせしますが、水着写真はありませんよ。そう、広末ファンにはいつだってストイックさが求められるのです。

 
322日 (mon)

 突然ですが。カーネーションが現在行っている「Parakeet & Ghost Tour」で販売されている15周年記念公式本「WACKY PACKAGES GOLD」に、「GIRL FRIEND ARMY」のディスク・レヴューと見開き2ページのエッセイのようなものを書かせていただきました。ツアー会場のほか、事務所かファンクラブの通販でも買えるんじゃないかと思うんで、機会があったら読んでください。というか、僕もまだ現物を見ていなくて、ボヤボヤしてるうちに札幌と仙台の公演が終わってしまいました。残り4公演の日程はこちらをどうぞ。エッセイの方はかなりトチ狂ってるんで、今となっては読んだ人の反応が恐くて恐くて…。

 o u t d e x更新、「book」に藤井誠二の「暴力の学校 倒錯の街」、相互リンクに「けふこ館」「Furix Ressentiment Overdrive」「リトル・エルニーニョ・レコード」を追加しました。そして激重ページに成り果てていた相互リンクコーナーを、心機一転ジャンルごとに分割してフレーム化。勝手にブラウザを開いて恐縮ですが、次々と開くんじゃなくて一つのブラウザに表示されていくようにしてみたんで見逃してください。使い勝手はいいと思うんで。あと、結局読み方が分からなくて50音配列泣かせの「(≧δ≦)」は「sub-culture」の先頭に、これまで「personal」にあった「BABW」を「sub-culture」に移動しておきました。久しぶりにページ構成を改造すると疲れますね。

 
321日 (sun)

 3時から新宿のタワーレコードでハイポジのストアイベント。昨日出たマキシシングル「口笛ふくのはもうやめた」を買ってサイン券を受け取り、おきーふさんと合流してステージ前の群れに加わります。新曲のビデオクリップが流れた後(このパターン最近のイベントで多いね)、ハイポジが登場して4曲を披露。2人だけなんでアコースティック編成のミニライヴだと思っていたら、テープ使ってガンガン鳴らしていました。さねよしいさ子の「天使のほほえみ」のカバーは、もりばやしみほさんが歌うと非常に儚げな雰囲気です。その後のサイン会では、ハイポジのおふたりに顔と名前を覚えられてて嬉し恥ずかし。

 イベント終了後、ツダケンさんMASAさんほか、去年のハイポジのライヴ後のオフ会で知り合っていた皆さんと「らんぶる」へ行って茶話会。

 5時にはアルタ前でテルさんを探します。今夜のイベントのために上京してきた彼を捕まえて、「テルさんを囲む会」を開こうっていう寸法ですが、テルさんは僕の顔を知らず、僕も彼の小さな写真を見たことがあるのみ。しかし、人がごった返す中で発見できるのかと不安を感じたのも束の間、どこかReadMe! JAPANな若者がいるのを察知できたのは、互いが抱える業が共鳴でもしたのでしょうか。同じく初めてお会いするamyさんも一緒で、集まったウガニクさんゴーさにさんトモコさんとで、この界隈のオフ会の定番「養老の瀧」へ。テルさんはオタクやサブカルも吸収してはいるけど基本的には好青年、そしてなんの因果か屈折してしまったのも魅力です。でも後で永田さんに「好青年」と彼を評したら、即座に否定されてしまいましたが。

 そんなわけで「PRONT」に場を移して延々と話し続け、そしていよいよ「ときめきトゥナイト」のため高円寺のCLUB DOLPHINへ流れ込みました。開始の10時ちょうどに着くと、すでにノボルさんトモミチさん由一さんOGAIさんがいて、客もほどよい人数がいます。新宿を発つ時、ゴーに「そこ格好でクラブ行って大丈夫ですか?」と痛い所を突かれたのですが、きっと会場はオタク同志のパラダイスさ…と信じていた僕。しかし会場には洒落た若者が次々に現れ、たちこめる煙と鳴り響く音楽と共に僕を追い込んで行きます。そして押し寄せる人・人・人、気がつけば会場は満員寸前の様相。電話を掛けに外へ行って戻ってくると、メガネが曇ってしまいました。オタクは辛いよ。こうなれば仕方ないと、飲んで酔ってフニャフニャと踊り、鼻や喉の粘膜に悪そうな空気の中で見知らぬ人ともベラベラと話しまくってきました。今までやり取りをしていたけむろさんや萌絵さんとも初対面、ページを見てた佐藤さんxenoさんテツヤさんにも会えました。うちのページを見てくれていたというhirafさん田中さんほかの方々、そう言ってくれる人がいてホント嬉しかったです。ありがとー、と言いながら顔はどんどん赤くなっていきます、カルアミルクで。

 なんかずっとオフ会やってたような1日でした。でもやっぱ人に会うのは楽しいですよ。

 
320日 (sat)

 石野卓球「throbbing disco cat」購入。サントラやリミックスの仕事を集めたボーナスCD付きの方を買ってきました、限定盤という文句に負けて。ちょっと聴いた感じだと、前作「BERLIN TRAX」よりも僕好みのサウンドです。やはりミニマル大好きですし。

 やまだないと「バイエル[太陽の下の18歳]」、奥瀬サキ「フラワーズ1」、望月花梨「笑わない理由」第2巻、冬目景「イエスタデイをうたって」を一気読み。各作品についての細かい紹介はそのうちo u t d e xでやりますが、どれも素晴らしいですよ。特に「イエスタデイをうたって」には己の若かりし日々のことなど思い出し、胸をチクチクと突かれちまいました。こんなにツボにはまるとは思ってなかったなぁと弱りつつ、また読み返したりして。

 
319日 (fri)

 4月1日にメディアリングから再発されるムーンライダーズ関連盤3枚を頂いたんでご紹介します。すべて紙ジャケット仕様。

 以前知り合いとライダーズのアルバムでどれが一番好きかと話したら意見がバラバラで、結局若くて一番多感な頃に聴いたアルバムってのが強烈な印象を残すんだろうという結論になったことがあります。僕にとってのそうしたアルバムは、初めてリアルタイムで聴いた91年作「最後の晩餐」ということになるのでしょう。緻密で厚いサウンド、詞と曲、アルバムとしての完成度、どれを取っても今でも素晴らしいとしか思えません。デジパック仕様のオリジナル盤は、聴き返しすぎて背中の部分がボロボロになっちまいました。再発盤はCDエクストラ仕様で、「ガラスの虹」のビデオクリップも収録。メンバーが誰も出てこなくて、外国人がエッチくさいことしてます。

 続く92年作「A.O.R.」は、メンバー2人によるプロデュースということでファンの間ではいろいろ物議を醸した作品ですが、聴きやすいので初心者の人にも安心なのは確か。シングル・カットされた「ダイナマイトとクールガイ」なんて、ライダーズのシングル史上の中でも屈指のキャッチーさでした。再発盤にはその「ダイナマイトとクールガイ」とカップリングの「シリコン・ボーイ」のシングル・ヴァージョン、あとベスト盤に収録されていたビートルズのカバー「YER BLUES」がボーナスで入ってます。これは嬉しい。

 そしてかしぶち哲郎が93年に発表したソロ作「fin」は、自然体で滲み出てくる大人のエロティシズムが全開。このアダルト加減は真性です。僕にとっては最初に聴いた彼のソロアルバムなんですが、ロック的意匠を排しての徹底したヨーロッパ的な雰囲気にはショックすら受けたもんです。弦・管楽器の音色も麗しく、個人的には「ロシュフォールノ恋人たち」のサントラが大好きなミシェル・ルグランが2曲でアレンジを担当。再発盤に未発表曲「唇のフィアンセ」を収録したのは、なかなかの大盤振る舞いですね。

 「彼氏彼女の事情」、今週は山本麻里安大特集! …そう思うことで自分を納得させましたよ。来週はさらに実写率が上がるんじゃないかって不安まで高めてくれましたし。三姉妹ヴォーカルアルバム「Setsu・Getsu・Ka」のプロモーションをこんな終盤でやってるんじゃないかと勘ぐりたくなるほどで、普通ならシリーズ中盤にありそうなエピソードだっただけに来週が最終回ってのが嘘のようです。いや、嘘なのかも。

 
318日 (thu)

 3月15日(月)午後4時頃、フィッシュマンズのボーカル・佐藤伸治が永眠。…そんなこと突然言われても俄かには信じらんないですよ、66年生まれっていうことは僕と6歳しか違わないじゃないですか。インフルエンザをこじらせて亡くなったという話も聞きましたが、望月さんのお母様も風邪をこじらせて7日に亡くなったとのこと。僕も正月にインフルエンザでブッ倒れましたが、その程度はまだまだ幸運だったのでしょう。大抵の現実がそうであるように死もまた突然にして不条理で、本人やご遺族の気持ちを察するだけでも辛いです。合掌。

 僕がフィッシュマンズを聴き始めたのは「100ミリちょっとの」というシングルからですから、92年頃ということになります。レゲエ・テイストのバンドという程度のあの頃の認識は、やがて「空中キャンプ」という傑作で吹き飛ばされ、「宇宙 日本 世田谷」「LONG SEASON」「8月の現状」を連発して独特の音世界に突入して行く彼らに驚嘆させられ続けました。今改めて考えても、あの展開のスピードは異常なほどです。淡い痛みも、不安もまどろみも表現した佐藤伸治の歌声は、高く細かったけどしなやかでした。

 近作でのフイッシュマンズ、あるいは佐藤伸治の作品は、穏やかなようでも静かに狂気の一歩前で佇んでいるような空気がありました。恐らくはピークがまだ先に用意されていた彼らだけに、その混沌のさらに奥を垣間見る望みが断たれてしまったのが残念です。本当に唯一無比の存在だったのに。

 
317日 (wed)

 この2日間、新聞もテレビも全く見ずに浮世の情報から遠ざかっていたら、中途半端に取り残された気分になりました。こんな短期間でこんな気分になれるなんて新発見。気晴らしに買い物でもしましょうよ。

マンガやまだないと「バイエル[太陽の下の18歳]」、 奥瀬サキ「フラワーズ1」
活字枡野浩一「ますの。」、 赤坂真理「ヴァイブレータ」、 「MUSIC MAGAZINE」4月号
CDVAN MORRISON「BACK ON TOP」、 BLUR「13」、 LATIN PLAYBOYS「DOSE」

 買うだけ買って、どれも読みもせず聴きもせずに放置していられたら、そういう生活も逆に楽しいかもね。

 
315日 (mon) ― 316日 (tue)

 父親の実家、つまり実家の実家で、通夜と告別式の2DAYS。ただでさえ親戚縁者が集まって人だらけで居場所がない上に、二人の老人の介護に明け暮れていた家というのは想像以上に凄まじく、常にシビアな現実に向き合っていたために整理整頓なんてものは後回しにされてたことが手に取るように分かる状態でした。祖父の見舞いをしにたまに病院には行っていたけれど、ここ数年は本家を訪れてもいなくって、庭の柘榴や家具の上の民芸品に幼い頃の断片的な記憶が残っているのみ。居間に飾られた額を見上げたら、僕の20年前の写真がありました。

 通夜も告別式も近くの寺で。この2日間で何回焼香をしたことでしょう。集まった親戚の中に知った顔はほんの少しで、僕にとっては隠れキャラ大集合といった気分でしたが、向こうにしてみれば僕が隠れキャラ。初めて会う15歳離れたイトコなんかもいましたよ。そして、苛立ちを含みながら僕ら遺族側の人間は慌しく動き回り、偉そうな親戚に腹を立てたり、お偉いさんの弔辞の大袈裟な言葉に腹の中で失笑したり、坊さんの説法の内容に首をかしげたり、どうして赤ん坊と死人の顔は見ていて飽きないのだろうと考えたりしながら、日本中のどこにでもあるような一連の葬儀は終わっていきました。

 一番見ていて辛かったのは、祖母が祖父の死を理解しては忘れ、忘れては思い出して取り乱していたことです。記憶が連続せずに大きな断層を作り、その断続的な意識の中で生きていくことは、考えただけでも恐ろしい。死ぬことよりも怖い。ボケることは緩慢に死の中へ足を踏み入れていくことだと感じました。「あたしがあんな風になったらどうする?」と冗談めかしていう母も、それに苦笑いする僕も、実は全然笑える気分ではなかったのです。

 ただ、今まで仏教方式の葬式というのは金ばっかり無駄に掛かるイベントというイメージでしたが、死者へ想いを深めつつ追悼するという意味では実は非常に完成度の高いシステムなのだとも感じました。棺に花を詰めるのとか、勘弁してくれってくらい泣けてくるもんな。こんなこと考えるのは歳食った証拠なのかも…なんて考えつつ、昨日も今日も夜になると長い電話をして、僕は僕のその日を生きてみたのです。

 
314日 (sun)

 僕がクラシックの類をあまり聴かない理由としては、詳しくないという苦手意識の他に、一般的な大衆音楽のようにフォーマットが決まっていない分、特に耳を傾けるべき部分が分かりづらくて、結局集中力が続かないことも大きいと思います。そのくせヴァイオリンの音色は大好きで、本当は交響楽ももっと聴いてみたいんですが、今から体系的に勉強というのも大変で。

 でも9日のXTCのイベントの後はちょっと上機嫌だったので、会場のHMVのクラッシック売り場に出向き、オリヴァー・ナッセン指揮ロンドン・シンフォニエッタによる武満徹作品集「Quotaton of Dream」を買ってみました。オーケストラものとはいえ、現代音楽ですが。この人は、現代音楽ではSTEVE REICHと並んで気になっていたんですが、STEVE REICHのベストは今月25日発売だというので武満徹に決定したのです。

 とはいえ実際に聴いてみて感じたのは、こういう音楽と生活のムードとの隔たりの大きさ。そして今日のような日に繰り返し聴いているのは少し複雑な気分です。ただ、今は理論と感性の間をすり抜けていくようであり、極めて醒めた意味で幻想的な音楽に身を預けています。

 
313日 (sat)

 今ではすっかり痴呆症が進み、毎晩暴れたり徘徊したりしているという祖母が、握らされたベッドの上の男の手が冷たくなっていくのを理解したらしいことは、せめてもの救いでした。その手が、半世紀以上を伴にした相手のものだと本当に理解していたかは分からないけれど。

 かなり昔、彼に僕の7代前までの家系を聞いたことがあります。でも僕が忘れてしまったために、その記憶は放射線を浴びつづけた彼の頭部の奥にだけに残り、そして消えていきました。関東大震災の体験談を話せる人にはもう出会わないでしょう。彼の出した10インチのアナログ盤は、部屋のどこにあるんだろうか。

 ボケたくないと腹の底から思ったけれど、思うままにならないのが人生だということも見せつけられた1日。ただ、どんなに悲しんでもその死を見届けてあげたいと思える相手がいる今の自分は幸福なのだとも思ったのです。

 
312日 (fri)

 高橋源一郎「あ・だ・る・と」、津田雅美「彼氏彼女の事情」第7巻、榎本ナリコ「ふしぎなジジ・ガール」、陽気婢「えっちーず4」、「ハッカージャパン」VOL.3、「PCComputing」4月号を一度に買ったら重くて重くて。高橋源一郎の「あ・だ・る・と」の表紙を描いてるのはやまなだないと。ミステリー誌で連載されてたという榎本ナリ子の「ふしぎなジジ・ガール」は少女マンガ度が高くて、あとがきで本人も書いてるけど「センチメントの季節」のイメージがあるとちょっと意外。僕が読んだ限りでは、この人ってエヴァ同人誌が一番面白いのでは…なんて言ったら怒られるんでしょうか。でも野火ノビタ名義での「第3新東京市天使の詩」は、エヴァ同人誌全般から見ても有数の作品でしたよ。

 そしてアニメ版のカレカノ、今週はここ最近で一番面白かったです。あのスピード感は本当にスピードのせいなんだけど、放送開始当時のリズム感を思い出させてくれました。ディープな心情表現への展開にはちょっと唐突な印象も受けたし、「ほらほら、エヴァが好きだった連中はこういうのが嬉しいんだろ?」というアニキの声も聞こえてきましたが、それでも大喜びです。これまで原作に忠実だったのに、今回は既発の単行本と見比べるとオリジナルだったんですね。後半と合わせて薄めるんじゃなくて前半だけで終わらせちゃったのも清々しかったです、時間が無かっただけかもしれないですけど。そして有馬さんと話してたら、「カレカノは最初から毎週15分番組として放送すべきだった」という結論になりました。

 
311日 (thu)

 いつもは6時集合なんで会社員にはちと辛いNHK-FM「ライブビート99」の公開録音ですが、今日は普段より30分遅かったんでNHKへ向かう足取りもゆっくり。今夜登場したのはカーネーションでした。比較的早く入場したものの前には行かず、収録スタジオの一番後ろの壁に座り込んで開演待ちするスーツ姿の男、それが僕。心身ともに疲れ切っていたのです。

 本編でプレイされたのは、新作「Parakeet & Ghost」からの曲を中心とした「Edo River」以降の曲。それぞれのアルバム単位ではかなり大きな変化を感じてきたのに、ライヴで新旧の曲を続けて演奏するのを聴いていると違和感がほとんどありません。カーネーション自体のコアな部分はほとんど変わらないままで、アルバム制作過程における情報処理の手法の違いがアルバムごとの個性を生んだのでしょう…なんて理屈臭いことは書いてる今思いついたことで、聴いてる間はマッチョな音塊に身を預けてましたよ。余談だけど、これまで僕が見たライヴでまともにテルミンを演奏できていたのは棚谷さんだけかも。

 で、終了後は知り合いの皆さんと話しつつ渋谷の街へバックして、僕は疲れてたんでそのまま帰宅。相互リンクしてるいおりんさんには初めてお会いしたんで、普段の僕そのままに好青年ぶりを発揮してきました。…してきたはずでしたが、彼の日記を読む限り撃沈したようです。ブクブク。

 
310日 (wed)

 昨日のXTCイベントの後、HMVで井上三太の「TOKYO TRIBE 2」第2巻を買ったんですが、やっぱりあそこの2階じゃドーンと平積みでしたよ。17日にやるっていうイベントの整理券も付いてきましたが、これは行かなさそう。平日の仕事帰りにスーツ姿で井上三太イベントってのはちょっとねぇ。

 質感まで伝わってきそうな装丁の色使いやデザインは、さすがこの人。ただし中身の方では、極めてスタンダードなコマの割りのせいもあって、街中でのチェイスや決闘の場面の迫力はいまひとつです。これはちょっと意外なほどでした。むしろ面白いのは、街の風俗ライター・潰れそうなコンビニ・スーパー高校生とかが登場して交錯し始める後半。第1巻に比べても、グッと話が厚くなってる感じです。現実とシンクロしてる部分と違ってる部分とのギャップも、この人の場合は面白さにつながってるんでしょう。

 
39日 (tue)

 この日渋谷HMVに大集合した200人のマニアは全員XTC目当てときたもんですよ。先着順の整理券を手にした人々へのトーク&サイン会ということで、心優しくもクセのありそうな人々が狭いスペースに詰め込まれ、ニッチもサッチもノンサッチでした。前作「NONSUCH」でこの宣伝コピーが使われたのはもう7年も前ですなー。僕の背後には男女連れがいたんですが、その男の方は知識をひけらかしていてしかも皮肉っぽく、自意識の肥大っぷリを僕の耳まで流し込んでくれるイヤ系マニアの典型。聞いてるだけでストレスが溜まりましたが、ここで事件を起こしてはイベントに参加できないのでグッと我慢しました。その嫌悪を人は近親憎悪と呼びます。

 XTCってのはよほど偏屈で無愛想なオヤジ2人組なんじゃないかと思ってたんですが、現れるやいないや前の方の客と柵越しに握手し始めたんで拍子抜けしちゃいました。いい奴らじゃないですか。それから司会者とのトークでしたが、「プロモーション続きで疲れているから」と、3人からの質問に答えただけで20分ほどでおしまい。やはり油断しちゃいけない連中でした。

 続くサイン会では、周囲にアナログを持った人も多くて、突如お宝合戦状態。僕は新作「APPLE VENUS VOLUME1」のCDをコソコソと用意します。並ぶのはタルいから帰ろうかな〜なんて最初は思っていたものの、順番が近づいてくれば一気にドキドキ。現金です。アンディーもコリンも握手してくれたし、日本盤のフォト・ブックレットにサインを頼んだら、アンディーはサインのみならず写真の自分の靴をマジックで塗りつぶして「shoes!」とか言ってるし。一緒に仕事したら大変なタイプなんだろうけど、ファンにはこの茶目っ気がたまんないね、と大喜びしちゃいましたとも。

 
38日 (mon)

 ヒューレット・パッカードのスキャナーのwindows98対応ソフトを配布しているのはなぜか別会社。「メールアドレスはないのでお問い合わせは電話かFAXで」と、パソコン関係の会社とは思えないことがヒューレットのホームページに書いてあったのを訝しがりながら電話をしたら、「ただいま留守です」なんてテープが回ってて、よく分からないままダミー会社疑惑だけが深まりました。らちがあかないのでヒューレットの本社に電話して対応策を聞いたら、あっさりと「windows98のCD-ROMからドライバを入れれば大丈夫です」。なんだよずいぶん簡単じゃないかと帰宅後にパソコンとスキャナを接続、ドライバを入れる前に一度試しでスキャナを使ってみたら、普通に読み込めちゃいました。昨日は何度やっても駄目だったのに。ゲイツ・マジック? 購入当時のヒューレットの広告に出てたのは細野晴臣なんで、イエロー・マジックの可能性もあります。


 
37日 (sun)

 スキャナー使えなくなっちゃいましたよ。96年に買ったヒューレット・パッカードのスキャナーを使ってたんですが、付属のソフトがwindows3.1向け臭いんで不安を感じていたら予感的中。同じ頃に買ったエプソンのプリンタなんかだとホームページに新しドライバが用意されていて、インストールも動作も問題なくできたんですが、ヒューレット・パッカードのページには、僕の使ってるスキャナのドライバは古いのしかなかったんです。ドライバが足んねえよと表示されて何度試しても駄目なんで、もう一度ページをよく読みに行ったら、該当機種はwindows98ではドライバのエラーが出るんでソフトを配布しているとのこと。なんでネットでの配布じゃなくてフロッピーの郵送なんだよと思いつつ、最新機を買う余裕をなくした身としては、おとなしく明日電話することにしたのでした。

 こういうハードの問題で壁にブチ当たると困りますね。システムファイルをいじるためにMS-DOSで苦手なコマンドまで打ったのに効果なしだったんで、徒労感もひとしお。おかげで、やっとビデオ最終巻までたどり着いた「lain」を観るころにはグッタリとして、しかも1ヶ月間隔ぐらいでビデオを借りてたんで内容についての記憶もあやふやです。作品中に「記憶なんて記録なんだから書き換えちゃえばいいんだよ」って意味のセリフがありましたが、書き換える内容も思いつかなくて、こっちはドライバじゃなくてメモリ不足といった感じでした。

 というわけで、o u t d e xのうち画像を使ってるコーナーは当分の間更新停止です。そんな言葉は更新予定がある場合に言うことだって意見はさておき。それでも文字だけは更新して、「apple hoppe」「plastic toys」「mumbleboy」を相互リンクに追加しました。

 
36日 (sat)

 (昨日の続き)しかし、そうは言ってもこればっかりは放置できないんだから病んでます。費やす労力の事を考えると視界から消してしまいたくなりながらも、新しいマシンを使いたいという欲求は抑えがたく、起きると同時にいつ終わるとも知れない作業に取りかかってしまったわけです。

 旧機の周囲の片付けからはじめたんで、久しぶりに雑巾なんぞ使いましたよ。掃除機も全開で、パソコンの背後に積もった見るも恐ろしい埃の変異体を吸収。いや、その前に3年間使い倒した旧機内のデータをMOに移していく作業をしたんですが、これも時間がかかりました。そして旧機の撤去後に新機を設置、この辺はサクサク進んで、いざ電源をON。

 ちゃんと使いこなせるか不安だったwindows98でしたが、なんだぜんぜん平気じゃん、といきなり強気になりました。というか、使い勝手はwindows95とほとんど同じだし。それから増設メモリとSCSIボードを差して、作業完了。買い忘れていたケーブルを買いにちょっと離れた店まで自転車で行った時には、もういい気分でしたよ。川を越えて走りました。

 ソフトのインストールや作動も問題なく、ハードディスクにも余裕があるんで、今まで持ってはいてもインストールに躊躇していたソフトもガツンガツンとブチ込みです。ソフトや周辺機器のもろもろで、部屋の中は箱だらけ。まるで小人さんたちの家のようだよ―と片付けを恐れての現実逃避にも磨きがかかります。

 ちなみに新しいパソコンもIBMのAPTIVA。このシリーズは音声入力に力を入れてるらしくて、その関係のソフトがゴソゴソ入っているものの、試そうとして発声入力の練習みたいなのが始まった時点でもう嫌気がしました。この日記を全部音声入力で書くというのも考えたのですが、実現は先になりそうです。

 今まで「メモリは16MB」と言う度に遠慮なしに驚く人々の顔を見せられてきたんですが、128MBにしたら動作がいちいち速くて落ち着きません。ハードディスクが8GBあると、ソフトを入れても入れても空きが減らないんで、やはりハードディスク貧乏にだった僕には不思議な気分です。こんなこと書くと、「おまえが不思議だ」と言われそうですが。

 そんなこんなで、気が抜けるほどのスピードで従来の環境が新機で復活。問題があるとすれば、古いマウスパッドを捨てたんで、新機に付いてきた香取慎吾のマウスパッドを使わざるをえなくなったことぐらいですかね。

 
35日 (fri)

 春の風が吹いてますよ。今年も花粉症にならずに過ごしたいもんです。

 一昨日買った新しいパソコンが届きました。でかいダンボール箱×2は当然邪魔で仕方なく、早いとこ設置して片したいのですが、だめなんですねー。まだ古いパソコンの中のデータの整理もしていなければ、パソコンを置いてる机の周囲も整理してないんですねー。

 思えば先日購入したステレオコンポは、届いてから実際に部屋にセットされるまで10日以上もかかりました。最近の日本人としては珍しい余裕の持ち方ですね、なんて誉め言葉を誰からももらえないのは、部屋の惨状を見抜かれているからでしょうか。「片付けてから買ったらどうなんだ。」その御意見ももっともで、僕の「理性」と呼ばれる部分もそう言うのですが、やはり現物が届けられて生活環境が圧迫されないと、部屋を片付ける気になれんのですよ。論理的でしょ。そんな反応の無いであろう同意を求めつつ、こんな日記書いて作業から逃げてるのです。

 「彼氏彼女の事情」は、少女マンガ的シーンとギャグの落差が極端な演出、描き文字や紙のアクセント的な使用、動かないんだけどそれほど違和感も無い作画、加えてヒネた次回予告と、安定した仕上がりでした。とは言うものの、大将は実写でガメラを飛ばすぐらいはやりかねない御方なんで、いつも心に対ガイナックス的覚悟は欲しいものです。

 
34日 (thu)

よう‐へん【窯変】 陶磁器の焼成中、火焔の性質その他の原因によって、素地や釉(ウワグスリ)に変化が生じて変色し、または形のゆがみ変ること。また、そのためできた陶磁器。ひがわり。
 「笙野頼子窯変小説集 時ノアゲアシ取リ」の「窯変」の意味は広辞苑を引いたら分かった。不思議なのは「小説集」の方で、夢日記のようなものは小説に分類するとしても、この本に収められた短篇の中にはエッセイとしか思えないものもある。「夜のグローブ座」なんて、「たま」のコンサートを観てのエッセイだ。

 母親の死、父親の病、新築の実家、雑司が谷暮らし、純文学叩き、雑誌の中傷記事、目の不調、猫と同居。たしかにほとんどの作品はこうした出来事が共通して描かれていて、彼女にとってはスタイルに関係なく文章は同じ地平の上にあるのかもしれない。「夜のグローブ座」にしても、コンサート自体の他にも話は道を逸れたり回り道したりして、しかも細かい分析を欠かさない。笙野頼子のもの以外の何物でもない文章だ。音楽ライターにはこういう文章は書けないし、書くことも思いつかないだろう。

 そしてなにより、怒りも悲しみも、苛立ちももどかしさも抑えたトーンで淡々と語られる、醒めて堅い言葉の数々が美しい。母親の死を描いたと思われる「壊れるところを見ていた」は、濁りを含みながらも透明感がある。また、「主人公」のとめどなく続く思索に「この人、大丈夫なのか」としばしば危うさを感じてしまうが、「一九九六・丙子、段差のある一年」で笙野頼子は自身の資質について「慣用句や安易な情動に流されない」と語り、冷静な分析を自身の作品について行ってもいる。

 全部分かってる人なのだ、笙野頼子は。そう納得させられた。

 
33日 (wed)

 OOIOOの「Feather Float」、こなかりゆの「BULLSHIT」購入。

 OOIOOは、ボアダムスのヨシミ率いるバンドだけにさぞや騒々しいのだろうと思いきや、テクノを連想するほどクールです。インチキ民族音楽風やマイケル・ジャクソンの名を連呼する曲などもあって混沌としているもののどこか醒めた感触で、全体を覆うエレクトロなサウンドも含めBuffalo Daughterに繋がるものを感じます。それにしても、ジャケットをはじめとするアートワークのサイケデリックさは目眩を呼びそうなほどで、ボアVSヤン富田のマキシを買うのも忘れてこっちをレジに運んでしまいました。

 これまでにミニアルバムばかりを発売してきて、定型外の大物ぶりを感じさせたこなかりゆは、初のマキシシングル。「BULLSHIT」は平たく言えばラップなんだけど、そんな枠に縛られることもなく、カントリーテイストの演奏をバックに自由奔放に歌い語っていて、これまた堂々としています。概発曲の英語ヴァージョン「GRANDMA IS GIRL」と「すきよ」のライヴ音源がカップリング。後者は、しっとりとした情感を漂わせていたオリジナル録音とは打って変わってアヴァンギャルドなアレンジです。

 いつのまにやら読みたいマンガNo.1になっていた上連雀三平の「アナル・ジャスティス」を求めてまんだらけへ寄ったところ、ありましたよ古本が。この種のマンガの古本ってなんか嫌ですが、意を決して買ってきました。ええ、マンガ型核弾頭みたいな本です。「女子校のふたなりクラブ」やら「クラスで近親相姦が大ブーム」やらのブチ切れた設定の数々が、可愛い絵柄や演出の力量の高さとあいまって、確信犯的かつ強烈な馬鹿っぷりで僕の脳の皺の隅々まで洗浄してくれました。

 
32日 (tue)

 疲れ切ってます。とり・みき先生のバンドのライヴにも、だめ連のイベントにも行かずにまっすぐ帰宅してしまいました。寄り道はせいぜい本屋で槌田敦の「環境保護運動はどこが間違っているのか?」を買ったぐらいです。

 ここ最近は、行く先々のページでFF8の話題を目にします。まったく僕も例のバグのせいでひどい目に遭いましたよ! なんて嘘を平気でつける人間ならば僕ももう少し幸せをつかんでいたのかもしれませんが、すいません、あれって何の機械で稼動するんでしょうか。プレステやセガサターンはおろか、ファミコンも触ったことのない僕には、周囲が一斉に暗号で話し始めたような気分です。しかも家庭用ゲーム機の類で遊んだことがないと告白すると、それだけで「信じられない」「テレビないの?」「それにアイデンティティーかけてるんでしょ」と、露骨に未開人扱いされてしまうのですからやりきれません。FF8に関しては、広末似のキャラが出てるとか無駄なことだけは知ってるんですが、口にすると逆に立場を悪くしてしまいそうな気がして恐いです。

 世間が僕を置いて動いて行くよ…という気分にさせるもうひとつの物が地域振興券。「当店でも使えます」みたいなのぼりやシールをそこら中で見かけるようになりましたが、血税を払ってるはずの僕には何の関係もないときています。老人はまだいいとしても、そこらのクソガキにまで2万円の商品券ですか。僕が手にしたら、1月2日の日記で購入を宣言しながら恥ずかしくて買えないままのDA PUMPの「Rhapsody in Blue」を一度に20枚買ってやるところです。日本経済のために。

 
31日 (mon)

 BRIAN WILSONの来日公演がついに決定! 「ぴあ」に載ってるのを見た時には、「うわぁ、もう後戻りできねえぞ」と心の中でつぶやいてしまいました。本当に来るんですね、歌うんですね? 口パクなんてナシですよ、TOKIOだってライヴじゃ本人たちが演奏してるらしいですから(脱線)。

 日程は7月12〜14日というなんと3日連続公演。まるで15日の僕の誕生日の前夜祭のようだよ、などと誕生日が嬉しくもない歳になろうってのにトチ狂ってしまいます。会場は東京国際フォーラムのホールA、そして肝心の料金は…。

 8500円!? それがS席で、A席も8000円ですよ。うわー思い出した、僕が外タレのライヴへ行かないのはチケットが高いからなんです。経費云々で仕方ないのかも知んないですけど、これじゃとても全部は行けないですね。若僧がこんなこと言ってると、年期の入った古株ファンの皆さんに「ゴチャゴチャ言わずに全部行け!」とかドヤされそうですが。たしかに次回があるか分からないし、当日のコンディションによって歌の調子が全然違うなんてこともありそうだし。チケット発売開始の4月11日まで、苦悩の日々は続きそうです。で、考えるだけ考えて結局発売日を忘れるのが僕の性格ですなんですが。

 o u t d e x更新、「MUSIC」にCDレヴュー20枚分を一挙追加しました。春の予感も漂ってきた3月になって去年の11・12月分をUPするという季節感反動勢力になり下がっています。こうなったら「98年のベストアルバム10枚」とか選びますよ、夏の終わりにでも。

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日記猿人
 


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