憂楽帳

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憂楽帳:万歳

 その土地ごとに習慣はあるけれど、長野県の「万歳」には驚いた。招かれた結婚式の披露宴。いよいよお開きの時、会場に万歳の声が響き渡った。来客も媒酌人も新郎も。ウエディングドレスの花嫁まで。神奈川県出身の私は何がなにやらで小さく万歳。あとで長野の友人に聞くと「えっ! どこでもやるだろ」と逆にびっくりされた。

 酒席では招いた側の万歳三唱の後、客側が「万歳返し」。運動会の閉会式も児童や園児が万歳で締めくくる。これが普通の光景だが、この習慣は長野市を中心にした北信地方に色濃い。一説には真田氏の松代(まつしろ)藩が発祥で、謡や舞で武運を祈った出陣の儀式が始まりとされる。いつしか省略されて最後の万歳だけが残ったらしい。

 「(万歳をするのは)そんなに珍しいですかね? 景気のいい掛け声で伸び伸びとした気分になるし、結束を確認する意味でもいいじゃないですか」と信州人の村井仁(じん)知事。広い長野県をひとつにするには手締めより万歳がいいのかな、などと一人考えつつ、今夜も宴会でたぶん、万歳!【鈴木篤志】

毎日新聞 2007年12月26日 12時15分

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