松井秀８月３度目２発！メジャー最多３１発ペース

　◆レッドソックス４―８ヤンキース（２３日・ボストン）　ヤンキース・松井秀喜外野手（３５）がレッドソックス戦に「５番・ＤＨ」で出場し、２２、２３号を連発、２１日の同カードに続いてマルチ本塁打で勝利に大きく貢献した。ここ１０試合７発で、１試合２発が３度と大当たり。現在の本塁打率で換算すると、０４年にマークした自己最多の３１本塁打を超える。３年ぶりの地区優勝へのマジックを３２に減らした。

　殊勲者は誰なのか、ナインはみんな分かっていた。試合後のクラブハウス。松井を同僚のカノとスウィッシャーが祝福した。「ＭＡ“ＴＷＯ”Ｉ！　ＭＡ“ＴＷＯ”Ｉ！」一昨日（２１日）のレ軍戦に続いて今月３度目、今季４度目の１試合２発の大暴れ。２本塁打を意味する『ＴＷＯ（２）』と名前をかけた造語の連呼に「こういう日は笑顔も出ますよ」と、ほおを緩めた。

　勝利を導いた２発は相手エース・ベケットからだった。まずは１点リードの２回。外角高めの速球をとらえた。激しい破壊音を残し、白球は右中間席へ。レ軍エースから初めて放ったアーチだった。そして７―４でリードした８回２死。内角のカットボールに体を回転させて、右翼ポール際へ２３号。今季、本拠地無敗の右腕に初めて土をつけた。

　最近１０試合で７発を放ち、全１６２試合に出場した０５年の２３本塁打に早くも並んだ。ここまで１４・９１打数に１本の割合でアーチを量産。残り３８試合、かりに１週間に１度、休養しても、このペースを保てるなら、０４年の自己記録の３１本に到達する。本人は机上の計算を嫌って「まだ早いよ」とかわすだけだった。

　１球目から失投を逃さない姿勢を保っている。８月に入ってからの８本塁打中、４本が初球。この日の１本目もそうだった。松井は「甘い直球だったよ。見逃してもストライクだと思う」と振り返ったが、明らかなボール球だった。ストライクゾーンから外れていても、今は“好球”と映る。ヒットできるコースが広がったことが、積極性へつながっている。

　体にキレも戻った。昨年９月、手術を受けた左ひざにたまっていた水を抜いたからだ。ケビン打撃コーチは「スイングスピードが増し、爆発力がある」と分析。左ひざの痛みで思うようにランニングはできないが、打撃に影響は見られない。

　レ軍戦は打率３割４分。フェンウェイ・パークならば打率４割という高打率を残す松井のバットが宿敵を撃破。地区優勝マジックを２つ減らして「３２」とした。本塁打数もチーム２位、６８打点はチーム２位タイ（ともにトップはテシェーラの３１本、９３打点）となった。故障を抱えながらも必死で戦う松井の存在は、ヤ軍の攻撃陣に欠かせない。