松井、世界一へ今季初守備あるぞ！

　【ニューヨーク・２７日】第１０５回ワールドシリーズ（ＷＳ）がいよいよ開幕する。５９年ぶり２度目の対戦となるヤンキース、フィリーズは決戦を翌日に控え、それぞれヤンキー・スタジアムで練習した。自身２度目のＷＳとなるヤ軍・松井秀喜外野手（３５）は、今シリーズで今季初めて守備に就く可能性が出てきた。ジラルディ監督の指示で右翼に就いてノックを受けるなど、指名打者（ＤＨ）制のない敵地での試合に備えた。本格的な守備練習はシーズン初めてだが、「守備は気持ちいい」と好感触を得ていた。

　突然の“スタンバイ指令”だった。打撃練習を終えた松井のもとに、ジラルディ監督が歩み寄った。「ジョー（ジラルディ）に『外野守備の練習をしろ』って言われました」。バッティングの後、いつもはヘルメットとバットを片付け、そのままクラブハウスに消えるが、この日は違った。青いグラブを手に、右翼のポジションに向かって一直線に走っていった。

　首脳陣は最後の舞台で、ついに“ＧＯサイン”を出した。昨年９月、左ひざの手術を受けた松井に対して、１年間「ＤＨ」としてフルに働いてもらうため、守備には就かせなかった。昨シーズンは左翼、ＤＨで併用起用した時期から患部が悪化。今季は打つことに専念させていた。しかし、大一番を前に解禁となった。

　降雨のため、外野の芝は濡れていたが、松井はハツラツとプレーした。懸命に打球を追い、跳び上がるように返球した。「下が湿っていたのは気になりましたが、やっぱり守備は気持ちいいですね」と、晴れやかな表情を見せた。ここまで守備に就けなかったストレスを、一気に発散した。

　外野での起用について指揮官は「敵地ではダブルスイッチ（守備側が投手と野手を一度に交代、打順を入れ替えること）がある。シーズン中はひざを気にかけてきたが、今は２、３か月後のことを気にする必要はなくなった」と説明。右翼手のスウィッシャーがポストシーズンに入って不振（打率１割２分５厘）なため、試合途中から右翼に入れる構想を示唆した。松井が守備に就けば、昨年６月１５日のアストロズ戦以来となる。

　チームにとっては９年ぶり２７度目の世界一を目指すシリーズ。敵地ではベンチスタートとなるが、ヤ軍の一員として全力を注ぐ。「６年前、残念ながら敗れてしまった。だから、今回は勝ちたい」と改めて世界一奪取を宣言した。チャンピオンリングを手にするためにピンストライプのユニホームを選んだ松井。夢の実現へ、最後の戦いに臨む。