松井秀９回代打で安打も、世界一お預け…Ｗシリーズ

　◆ワールドシリーズ第５戦＝７回戦制＝　フィリーズ８―６ヤンキース（２日・フィラデルフィア）　ワールドシリーズ（ＷＳ）第５戦は、Ｃ・アトリー内野手（３０）の２本塁打４打点の活躍などでフィリーズが８―６でヤンキースに打ち勝ち、対戦成績を２勝３敗とした。アトリーは今ＷＳ５本塁打目となり、シリーズタイ記録。ヤ軍の松井秀喜外野手（３５）は９回に代打で左前安打を放った。日本時間５日にニューヨークで行われる第６戦は、ＤＨで先発出場し、自身初の世界一を狙う。

　逆転の望みを託され、松井は代打として打席に向かった。３点を追う９回無死二塁。フ軍右腕、マドソンの９２マイル（１４８キロ）の直球をとらえた打球は鮮やかに三遊間を破った。「直球が速い投手だけど、高めの球をうまく上からたたけた」と一、三塁と好機を広げた。

　簡単には引き下がらない。それが今年のヤンキースの戦いだ。続くジーターの遊撃併殺打の間に、１点を返した。なおも好機が続き、一発出れば同点という場面まで作った。最後は及ばずに敗れたが、６点あったビハインドを８回と９回で２点差まで追い上げた。松井は「今後、自信になる今日の攻撃」と振り返った。

　勝てば悲願の世界一だったが、ヤ軍に重圧があったわけではない。午後４時半頃、大半の選手が笑顔で球場入りするなど、リラックスムード。松井は選手で一番遅い、練習開始寸前に到着。大舞台でも動じないマイペースぶりがＰＳ１４試合で３割８厘（３９打数１２安打）、ＷＳ５試合で５割５分６厘（９打数５安打）と高打率につながっているのかもしれない。

　打線は第１戦に続き、左腕リーに苦しんだが、Ａロッドがヤ軍最多のワールドシリーズ１６打点目となる右翼適時二塁打を放つなど、終わってみればフ軍より多い１０安打。ジラルディ監督も「バットは振れている」と心配していない。第６戦はＤＨで松井が先発復帰。打線はさらに強力になる。思い出が詰まるピンストライプのユニホームで今度こそ、頂点に立つ。