松井、単年も覚悟…複数年希望も状況楽観せず

　ヤンキースからＦＡ申請した松井秀喜外野手（３５）が、来季の契約について“単年覚悟”の意思を持っていることが１１日、分かった。現在はメッツ、レッドソックスなど複数の球団が獲得に興味を示し、交渉解禁となる２０日以降には、争奪戦が幕を開ける。複数年契約があくまで希望だが、松井側は冷静にＦＡ市場の現状を受け止め、契約年数に固執せずに交渉を進めていく。

　他球団との交渉を前に、松井の契約に対する一つの「指針」が明らかになった。移籍先についてはヤンキースにこだわらず、３０球団ＯＫの姿勢を打ち出しているが、契約年数に関しても、足元を見つめた交渉を進めていく。２年以上の複数年契約が希望ではあるものの、単年の契約になることも想定している。

　複数のメジャー関係者は「２年以上の契約を取れれば理想だが、１年契約になる可能性も強い」と口をそろえる。松井側も、同様の見解だという。単年を希望しているわけではない。興味を示す球団が複数あるとはいえ、楽観視していないということ。自身の置かれている状況や、来年のＦＡ市場も、にらんでいる。

　松井は今年の起用法を振り返り「もちろんＤＨで終えるつもりはない。しっかり練習をして不安を自信に変えたい」と外野手復帰へ強い意欲を見せている。ヤ軍・キャッシュマンＧＭは「外野手として考えていない」と断言。松井の守備力に期待する他球団のＧＭをけん制する発言を繰り返している。守備への評価は各球団によって違うが、来年６月で３６歳という年齢、今季一度もプレーをしなかった守備への不安を考えれば、契約に多くは求められない。

　メッツを始め、獲得を視野に入れている球団のＦＡ補強の優先順位の１位が松井ではないため、他選手の動向を見ながらの交渉となる。来季はア・リーグの首位打者を獲得した捕手・マウアー（ツインズ）やリーグ２位の６０盗塁、打率３割５厘をマークしたクロフォード（レイズ）ら強打者がＦＡ市場の目玉。２年目以降の活躍の保証はないため、単年契約を打診する球団があっても不思議ではない。

　巨人時代は、長期契約を球団から打診されたが「気持ちの中で１年１年が勝負」と単年契約を貫いた。今回は背景が違うが、その信念は変わっていない。まだ、やれる自信はある。単年契約を覚悟しつつ、静かに推移を見守る。