松井秀、余裕のオファー待ち「７年前に比べれば不安はない」

今回はヤンキースでの実績を胸に交渉に臨む松井秀喜外野手

　【ニューヨーク１９日】ヤンキースからフリーエージェント（ＦＡ）申請し、ヤ軍との契約が合意しないまま独占交渉期間が終わった松井秀喜外野手（３５）が、スポーツ報知の取材に激白した。ＦＡとなり、ヤ軍を含め、メジャー全３０球団との交渉が可能になった松井は「（巨人からＦＡ宣言した）７年前に比べれば不安はない」とし、メジャーで残した実績が他球団からのオファーにつながると自信を見せた。

　周囲の騒がしさをよそに、松井は冷静だった。ヤ軍から残留契約の打診がないまま、ニューヨークで独占交渉期間の最終日を迎えた。一夜明ければＦＡとなり、メジャー全３０球団を相手に、来季の所属先を探すことになるが、落ち着いていた。

　「７年前に比べれば、不安はないです。７年前も（所属が）なかったわけですから」。
巨人からＦＡ宣言し、メジャー挑戦を表明した０２年オフと、現在の状況を重ねた。

　当時とは周囲の評価が違う。積み重ねてきた実績が、自信につながっている。

　「（独占交渉期間が）終わっても特別な思いはないです」。

　ピンストライプを着て、７年間に９１６試合に出場。打率２割９分２厘、１４０本塁打、５３６打点をマーク。今季はワールドシリーズで優勝し、ＭＶＰに選ばれた。０３年の入団会見では、「行き先のチームが決まらず、落ち着かなかった」と揺れる胸中を明かしたが、今回はＦＡ市場の動向を見守り、オファーを待つだけだ。

　他球団との交渉が解禁となった。契約の焦点は松井が希望する外野の守備。

　「今年、守備をやっていない。（左ひざの）メディカルチェックをして、そこで（医師から）どういう判断をもらえるかどうかですね。そこで、また自信の度合いも変わってくると思います」。

　ＤＨ制のないナ・リーグの球団が、古傷を抱える外野手を、どう考えるか。起用法の判断によって、獲得を考える球団の数と契約の内容は変わってくる。周囲の評価以上に、松井の守備への自信は大きいようだ。

　３年契約が満了した０５年は、独占交渉最終日の午後１０時に残留が決まった。今回は期間内に交渉の席に着くことはなかった。シーズン中、キャッシュマンＧＭとテレム代理人の下交渉が不調に終わったことで、松井は球団に優先交渉の意思がないことを確信した。

　「だからＦＡを申請したんです」。ヤ軍への愛着を残しながら、球団の事情にも理解している。

　獲得に興味を示す球団は複数あるが、「あくまでオファーが来てから判断するべきこと。どれだけ（自分を）ほしいかというのは、話してみないと分からないから」と細かい契約の条件などについては、明言を避けた。メジャーの頂点に立った松井は「自分でいろんなものを切り開いていくしかない」とメジャー７年間で勝ち取ったＦＡを、前向きにとらえている。