since 14/DEC/96
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3月
31日
(fri)
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Nona Reevesのマキシシングル「LOVE TOGETHER」は、なんと筒美京平のプロデュース。この単純明快な曲のどこら辺をプロデュースしているのかは分かりませんが、無茶なほどのキャッチーさは御大の影響かもしれません。ギターの刻み方、太いリズム、うねるストリングス、ところどころに入るブラスなど、これでもかというほど70年代ディスコ・ソング。終盤のボーカルとコーラスの掛け合いで、「吹き飛ばしてハートブレイク!」なんて歌っているのには痺れました。
椎名林檎の「勝訴ストップ」には感服。前作がミリオンセラーになるほど売れて、スキャンダルが報道されるほど本人にも注目が集まっている中で、椎名林檎のパブリックイメージをなぞるのではなく、さらに表現が深化した作品を生み出すとは。カートとコートニーの名が「ギブス」には出てくるけれど、たしかにこれはロックです。歌謡曲を連想させるような側面は影を潜めていて、浅井健一と山本ムーグも参加したサウンドはかなりの音圧。アルバム全体を包む実存への不安は、彼女の音楽の聴き手が抱える不安とまさに共振していそうで、このアルバムも熱狂的な受け入れられ方をするだろうと確信する次第です。
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3月
30日
(thu)
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新宿ロフトプラスワンで鶴見済のイベント「STOP JAP!誰か原発を止めてくれ!」。彼のファンが運営するワタル・ムーヴメント完全解説と神経質自由人の掲示板に鶴見本人がイベント趣旨を書きこんでいたので、これはよほど気合いが入っているのかと思いきや、なんと会場に1時間半近くの大遅刻をして現れました。物思いをしていたんですって。やっと始まっても、「このイベントは最初から失敗している」と本人が言う通りに断片的でわかりづらいトークが続き、こりゃ本当にダメかと思いました。そうそう、鶴見はだめ連に入るのを断られたそうです。
そんな鶴見のせいで弛緩しきっていた会場の雰囲気が一転して締まり始めたのは、話題が原発問題に入ってから。東海村の事故における情報操作の可能性を指摘し、本当の事故現場は伝えられている場所ではないのではないかと海外メディアのソースなどを交えて指摘していました。それに続いて医療被曝の問題に移り、ガンの原因は放射能ではないのかと話は広がって行きます。これらの日本の問題を海外に訴える具体的な方法についても語られたはずですが、僕は終電を前に帰宅。同行したかちゃくちゃくんがそのうち遁走記に書いてくれるはずです。
正直、上記の2ヶ所の掲示板で鶴見の書きこみを見た時にはあまりに話題が散漫で、トンデモの次元に突入したのではないかと心配したのですが、原発と医療被曝に関して本人の話を聞く限りその心配はいらないようです。自分の推測を披露するにも、あれだけ「これも陰謀説と言われるかもしれないけど」と繰り返しているうちは自分を客観視できている証拠でしょうから。ただどちらにせよあれだけ大きな問題に挑むなら、もうちょい体系的に話をまとめて分かりやすく広める努力は必要でしょう。一番手っ取り方法として本を書いて欲しいですね、「自殺マニュアル」で知られる彼が原発や放射能の問題を告発し始めた時に世間がどう反応するかも楽しみですし。
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3月15日の日記でも紹介した、「DOS デバイス名が複数含まれるパスの指定でサービスが不能になる問題」ですが、日本語版修正モジュールがマイクロソフトで公開されました。あれだけ危険と騒がれたのに、パッチを入れるのはあっけないほど簡単です。
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3月
29日
(wed)
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細野晴臣の「HOSONO BOX 1969-2000」は、歌モノ2枚+インスト1枚+レアトラック1枚から構成される4枚組。オムニバス盤に収録されていた音源も数多く含んでいるので、彼のアルバムを一通り聴いたつもりの僕でも初めて聴く曲が多かった辺りに鈴木惣一朗の選曲が光ります。100ページ以上あるブックレットは録音技術の発達についても詳しく、また楽曲解説を読んで意外だったのは、細野晴臣のリズムに対するこだわり方でした。「北京ダック」がマイティ・スパロウ、「The Madmen」がキング・サニー・アデの影響だなんて、言われなきゃ気付かないところです。アフリカ好きだったとは。
個人的によく聴くのは歌モノで、特にYMO以前の70年代の音源が自分でもよくわからないほど気に入っています。僕は細野晴臣の声が好きなのでしょう。アルバムごとの方向性の変わり方の激しさはいまさら言うまでもないことですが、その節操のなさを証明するこのボックスを聴いていると、しかし彼の個性は節操のなさ自体にあるとよく分かります。ただ、彼のアルバムはソロもユニットもほとんどを聴いている僕が、アンビエント路線は好きになれずにHATのアルバムを聴かなかったのは、アンビエントという形態の中では彼の魅力がいまいち出しきれてないような気がしたからです。ポップスの枠から平気で出ていけてしまうのも彼の魅力には違いないのですが、やはり俗世と向かい合った曲の方に僕は面白さを感じます。
レアトラックスで良かったのは75年の中華街ライヴ。トロピカル路線はインチキ臭いようでかなり元ネタが非常によく消化されていたことが、しなやかな演奏から伝わってきます。
ちなみに細野晴臣の最新エッセイによると、ボックスについて愛あるメッセージが寄せられ、しかも孫も生まれたとか。いい話です。
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3月
28日
(tue)
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いまさら手を出すのも変なぐらいの古典であるSTEVIE WONDERの「TALKING BOOK」を昨日買ったので聴いています。72年作品だからつまり僕の生まれた年ですね。バラエティーと楽曲の完成度とアルバムの流れの美しさ、どれをとっても素晴らしいです。粘り気のあるサウンドとコーラスが絡みあう「MAYBE YOUR BABY」もたまりません。ソウルフルな「SUPERSTITION」、フォーキーな「BIG BROTHER」、そしてメロウな楽曲の数々を聴いていると、このアルバムが後世にいかに大きな影響を与えたかが分かるというものです。しかも、2人のボーカリストに導かれてSTEVIE WONDERが歌い始める「YOU ARE THE SUNSHINE OF MY LIFE」の、キーボードとコーラスの音色、そしてメロディーの美しさといったら…。しかもタイトルが「YOU ARE THE SUNSHINE OF MY LIFE」。君は僕の人生を照らす陽の光だ。もう泣けてきます。
君は僕の人生を照らす陽の光だ。
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3月
27日
(mon)
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ずっとお会いしたいと思っていたチムさんと
赤坂さんに遂に対面ことができましたよ。待ち合わせ場所をうっかり自分で原宿ラフォーレ前に決めてしまったもんだから、若者に周囲を囲まれて心細さを隠せずにいたものの、フード付きの服を着て現れた爽やかな2人組の登場に安心しました。そして、チムさんが行ってみたかったという洋書とかが並んだ洒落た喫茶店へ。チムさんの発言で一番衝撃的だったのは「ミュージシャンは顔が大事」という話で、ジム・オルークもマーカス・ポップもダメだというのですから、自分がミュージシャンじゃなくて良かったと胸を撫で下ろしました。チムさんは直感というかセンスの尖り具合が凄いのに、気負いとか上昇志向とは無縁なところが素敵なことこの上ないと思った次第です。赤坂さんは「エスプッソ」の原稿のイメージ通りに知的な青年でした。「批評空間」読者だし。そんなお二人を前に舞い上がった僕はボロを出しまくった気もしますが早く忘れてください。遊んでくれてありがとうございました。
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OUTDEX更新、「small circle of friends」にSynthesized Talks Variations・deeper...・BITMAPを追加しました。
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3月
26日
(sun)
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古屋兎丸が「ショートカッツ」で女子高生を描いていたのと同様に、彼の作品の多くに少女が登場するのはひとつの戦略だと認識していました。たとえば少女二人が登場する「ユメカナ」しかり、吾妻ひでお作品のカバーである「海から来た機械」しかり。しかし彼の最新単行本「Garden」を読み通した後では、古屋兎丸の作品群には戦略以上に内面に起因する表現上の強い必然性を感じたのです。
この単行本に、読むかどうかの選択を読者に任せるために袋閉じ製本という異例の形式で収録された「エミちゃん」は、そうした製本も納得してしまうほど陰惨で残酷極まりない描写が繰り返されています。多くの幼女をいたぶり殺してきた男が、その現場に出くわしてしまった少女を新たな餌食にすることで始まるこの物語は、しかし予想外に大きな展開に。そしてもうひとつ意外だったのは、この物語で少女を暴行の対象にしたのは、作品の不快さが作者自身をも突き刺すものにしたかったという古屋兎丸のあとがきでの言葉です。衝動とイメージを荒れ狂うままに投げつけたかのようなこの作品は、限界を感じていた作者にとっての試練であり、少女の存在もまた作者にとっての必然性によるものでした。そして「エミちゃん」は、強烈な不快さの一方で作者が突き抜けた表現を獲得したことを予感させる、ある種の爽快さも感じさせるのです。
初作品「笑顔でさようなら」がフランシス・ベーコンを意識したというだけあり、古屋兎丸の作品には西洋美術の影響が顕著で、「天使のフェラチオ」でも絵画を思わせる絵柄とマンガとしての内容のギャップが大きな効果をもたらしています。コマ割りの技術を求めて格闘した「エミちゃん」の後に描かれた「裸体の起源」では、楽園画や抽象画のような世界を舞台にし、スケールの大きい哲学なテーマを描き切っていました。グロテスクな絵にも、「エミちゃん」で得たある種の確信を感じるのです。そして、少女の胸に光る石を生み出す奇術を操る「先生」とその弟子である少年の数奇な運命を描いた「月の書」では、圧倒的な完成度で世界観を読者に提示することに成功しています。
物語をもっと煮詰めることも可能なはずだと思う部分もありますが、「Garden」は古屋兎丸の才能が規格外のものであることを証明するのに充分な短編集です。彼が現在あるひとつのエッジに立っていることは間違いありません。
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3月
25日
(sat)
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ロッキン・オンの総合誌「SIGHT」VOL.3の特集は「老いてこそロック」。キース・リチャーズとエリック・クラプトンにスポットを当てて構成したこの特集や、北野武のインタビュー連載などを読むと、「SIGHT」は物語志向なのだと感じます。それはつまり編集長の渋谷陽一の個性が色濃く出ている証しなのでしょう。けっこうな文字数が詰め込まれているものの、1ページ丸ごと写真を載せる手法の多様や、高級ホテルや車の紹介記事を載せることによって非常にスタイリッシュな雰囲気を作ってもいます。宮台真司はタイトルからして「『援交』から『天皇』へ」と挑発的。書籍評論では、芥川賞の選評の話題から石原慎太郎ネタに持ち込んだ斎藤美奈子が面白かったです。
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3月
24日
(fri)
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ジャスト1万円である細野晴臣の「HOSONO BOX 1969-2000」に始まり、今日はよく金を使いましたよ。CDでは他にYO LA TENGOの「and then nothing turned itself inside-out」と、Jim O'RourkeやTortoiseなどシカゴのアーティストを集めた2枚組オムニバス盤「Chicago 2018 ...It's Gonna Change」を購入。古屋兎丸の「Garden」には、「ガロ」で連載された問題作「エミちゃん」が遂に収録されていました。雑誌は「広告」3+4月号と「レコードコレクターズ」4月号。「広告」の「キャラクター原論」と題された特集にはTINAMIX勢も多数参加、「レコードコレクターズ」はニューソウル特集です。
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3月
23日
(thu)
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くらもちふさこの「天然コケッコー」第12巻では、大沢の浮気によってそよが二人の距離を置こうと言い出した後の話がメイン。特にscene 54の終盤、そよが大沢との付き合いを面倒くさく感じる場面での、心理と情景を絡ませた描写が光っています。
やまだないとの「ビューティフル・ワールド」は、ここ数年の彼女の単行本の中で最も気に入った作品でした。死と向かい合った傑作「ero*mala」とは逆に、愛や希望といったちょっと気恥ずかしいテーマが素直にして深く胸に入りこんできます。持ち味のフランスっぽさはもちろん漂っているけれど、生み出されているのはフランスでも日本でもない独自の世界。主人公のアレックスがゲイだったり、アダルトビデオの男優をしていたりすることも、汚れたイメージを与えるどころか人間としてのピュアさを浮き立たせています。ここにあるのは俗と裏表の聖、偏見をも忘れさせるほどの作者の純粋な視線。青空と樹々の淡くぼやけた美しさや、子供や赤ん坊の存在なんていうのは、一歩間違えると記号的に使われて嫌味になる危険性をはらんでいるものですが、そんな雰囲気はこの作品にはまったくありません。友人や家族たちの日常には人生への不安や嘆きもあるけれど、それを救うのはユーモア。温もりと同じぐらいに悲しみの重さを感じさせもすることが、「ビューティフル・ワールド」の説得力を生んでいるのかもしれません。1話の長さもバラバラだけど、メインのキャラクターが出ない回や抽象的な回もあったりと、やまだないとの作話の幅の広さも見せつけます。そしてどんな話でも自然に読ませてしまうのは力量があってこそ。世界のネガティヴな面に目を奪われて、その美しさが見えなくなってしまうなんてつまらないというメッセージが押しつけがましくなく優しく伝わってくるこの作品、本当に泣けます。
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3月
22日
(wed)
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宮台真司の公式ページに、「噂の真相」4月号の中森明夫×田中康夫×浅田彰鼎談についてのリアクションが。「“身の程を知らない文化人”を斬る!中森、お前もな!」と題されたこの文章、彼らを「80年代で終わってる組」とバッサリです。
宮村優子とナカタニDが離婚したという話をしろはたの3月13日のニュースで読んでシサマさんへのメールに書いたら、離婚についてはアニメージュの連載に書いていたらしいと教えてもらいました。声優さんの結婚事情というページにも離婚情報が。みやむーの結婚についてこの日記に書いたのが去年の1月なのでずいぶんと早い離婚だと思いますが、それよりこういうニュースをいちいちフォローしている自分のこれからの方が心配です。
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3月
21日
(tue)
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「MUSIC MAGAZINE」4月号の特集「音楽誌が書くJポップ批評」で気になったのは、記事そのものよりも特集の巻頭言と編集後記でした。そこで高橋修編集長が繰り返し指摘しているのは、Jポップを語ることがサブカルチャーになっているという風潮です。Jポップ(こんなの歌謡曲と呼べば充分)に表層的な社会分析を絡めることに見苦しさを感じる点については同感ですが、どうしてそこにサブカルチャーという言葉が幽霊のように現れるのでしょう? そして高橋さんが指すサブカルチャーとは? その点で僕は感覚を共有できないし、高橋さんがそう述べる根拠を見つけ出せず違和感を覚えました。
音楽を語る方法論というのは、そう多くないのではないかと思います。音楽そのものについて語るか、音楽家の抱える物語を読みとってみるか、音楽を取り巻く状況を提示してみるか、あるいは音楽の受け手の内面を語るか。基本的にはこれらの方法論の組み合わせであり、音楽家のキャラクターを前面に押し出す手法などもそこから出てくる変種でしょう。そして、そのどれが正しいわけでも間違っているわけでもなく、音楽を聴いている人がそれぞれの価値観に合った文章に触れることができればそれでいいのだとも僕は考えます。だから「別冊宝島」が「音楽誌が書かないJポップ批評」、「Quick Japan」が「バカ音楽雑誌めが!」とぶち上げたところで新しい手法が提示されているわけでは全くなく、一種の戦略あるいは意気盛んな勘違いに過ぎないです。
高橋さんは、特に編集後記を読む限りにおいてこれらの一般誌の記事に本気で反応されているようですが、そうした状況に対してアンチテーゼを唱えるのは必然的な姿勢だとも思います。ただ気になるのは、結果的には曖昧にして厄介なサブカルチャーの幻に囚われてしまっているように感じられることで、かつて存在したアイドル雑誌「よい子の歌謡曲」を「サブカル気取ってアイドル語って」いたという趣旨のことを書いているのを読むと、サブカルチャーへの拒否感ゆえに「よい子の歌謡曲」を相手に誤爆までしているようにも思えてしまうのです。たしかに「よい子の歌謡曲」は音楽そのものを語るスタンスではありませんでしたが、あの雑誌には音楽に対する愛情があると思います。僕の部屋には友人から借りた「よい子の歌謡曲」のバックナンバーがダンボール一箱ありますが、これをサブカルチャーの悪しき象徴として批判するのは誤解ではないかと思わずにいられません。
「よい子の歌謡曲」といえば、以前この雑誌に参加し現在もライターとして活動されている梅本直志さんに、「ムネカタくんの文章からは結局どんな音楽が好きなのかわからない」と言われて非常に痛いところを突かれたと感じたことがあります。僕はあくまで音楽そのものについて文章を書くことを心掛けていて、主観と客観のバランスに注意を払い続けているのですが、それが逆に僕の力不足をも露呈させてしまいました。けれど結局、「MUSIC MAGAZINE」を10年間読み続けバックナンバーを保存している僕は、高橋さんの言う「音楽本位」の音楽評を目指している点では全く同じです。そして、高橋さんが編集長就任後にアニメ音楽の連載「アニマ・アニメラ」を自ら執筆しはじめたり、マンガ評で富沢ひとしの「エイリアン9」や遠藤浩輝の「EDEN」を取り上げたりする姿勢には、いい意味でサブカルチャー的な広い視野を感じました。オタクの視点を音楽誌に持ち込む姿勢には「格闘」という印象すら受け、それを僕は支持していたのです。だからこそ、定義の曖昧な「サブカルチャー」を通して苛立ちを語るのではなく、「『MUSIC MAGAZINE』たるもの、もっと堂々としてくれなくちゃ困るぜ」と願っているのです。
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OUTDEX更新。宮沢章夫の「サーチエンジン・システムクラッシュ」を「BOOK」に追加し、肉体頭脳ポエジックダンスとバカとマシンガンを「small circle of friends」に加えました。ちなみにオトウトイモウトは「ドルフィンやスタジオ80で」、DRYBOXは「サブカルとオタク、広義で」へジャンル変更をしています。他一本。
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3月
19日
(sun)
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3月
20日
(mon)
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イワキリさんの家に「うたのゆびびん」関係者が10人ぐらい集まって、「ロシアと新体操の人」じゅんこの送別会。キムチ鍋と、小型テンプラマシーンを持ち込んだ有馬さんが揚げるテンプラの豪華二本立てでした。じゅんこにさんざん言われて、僕も初めてクッキーを作るハメになったのですが、クッキーのはずが平べったくなってヨックモックになってしまったのは不思議です。個々のクッキー生地がレンジの中で溶け出して、大きな一枚のクッキーもどきになっていくのをなすすべもなく見守っているのは、なかなか苦しいものがありました。レシピを見て材料とか手順とかは完全に正しかったのですが、バターを分離するまで溶かしたとか冷蔵庫で寝かせる時間が足りなかったとか、作業過程にある落し穴に全部落ちてしまったようです。
その夜思いがけず見聞きすることができたのは、渋谷さんが持って来たフリッパーズ・ギターの特別編集ビデオとロリポップ・ソニック時代のテープ。ロリポップ・ソニック時代の音源って、フリッパーズの「海へ行くつもりじゃなかった」をそのまま音だけ悪くしたかのようで、アレンジとか歌詞の一部をのぞくとほとんど同じに聞こえます。イワキリさん所蔵のおニャン子クラブのアナログ盤で「夏休みは終わらない」を流して踊っていたら、テルヤスさんに「踊りが違う!」と振り付けを叩き込まれました。「真っ赤な自転車」って10年以上経って聴くといい曲ですなぁ。
作成作業が中断していたイワキリさんのホームページも、頼まれてもいないのに我々が口述筆記したりFTPソフトをインストールしたりして見事完成しました。1ページだけという量的な問題は、この際関係ありません。それより懸念されるのは、次の更新がはたしていつになるのかという問題です。
こういう送別会でじゅんこは満足してくれたのか心配したけど大丈夫、かな。インターネットがあれば距離なんて関係ないというのも確に正しいんだけど、でもそれじゃ淋しいのもまた確かなのだよなぁと感じもしたのです。
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3月
18日
(sat)
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前回のコミティアで200部が1時間で完売してしまったという放送塔の新刊「B.O.D vol.5」を、しばたさん経由でTAGROさんから送ってもらいました。ご両人、ありがとうございます。TAGROさんは同人活動では「たぐちたぐろう」と名乗ることにしたそうで、その名義での「マフィアとルアー」がこの本のメイン。「LIVEWELL」や「R.P.E」などのいわば「生きざま系」の同人誌作品に流れを汲んでいます。
恋人と別れた4年前と、彼女の住む町を訪れたところ地元の若者と釣りをすることになる現在の話とが交錯していく構成はこれまで以上に複雑で、二つの時間軸のクロスの仕方もスマートです。そして、彼女が帰宅するのを朝まで眠れずに待っていたのに、彼女が戻ってくると眠っていたふりをしたり、別れ話に逆上して、その後なんとか冷静に振る舞おうとしながらも結局はまた取り乱したりする男の心理描写に、ヒリヒリと胸が痛んだわけですよ。男の読者たる僕は。
ちなみに「B.O.D vol.5」はmangazooでも紹介されています。
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3月
17日
(fri)
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前夜、不意に鳴ったPHSに出てみると大阪のりゃんさんでした。去年会った時には、「会えやコラ」と言われたとかあることないことを日記に書いた僕ですが、今回は本当に「また東京行くから会えやコラ」と原文ママの呼び出しを食らい、逃げ道を失って会うことになったのです…。ロリ声は健在でしたが、東京に来た際にサブカル方面とピングー方面の人々に会いまくるアクティヴさには、どこかフィクサー体質の気配があって油断なりません。僕と会った後は友達と鍋だと言っていたので、たっぷりピングーを具にした鍋を食べたことだと思います。
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3月
16日
(thu)
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TINAMIXの第2号が公開されました。TINAMIXは毎月16日が新しい号の発行日で、16日と翌月1日の2回にわけてその号を更新するという方式をとっています。
第2号では、竹熊健太郎さんのコラムの第2回と、僕が担当した桜井恭子さんのインタビュー記事が掲載されました。桜井恭子さんの記事に関しては予想をしていなかった事態の連続に振り回され続けていただけに、無事公開できて良かったとしみじみ思います…。いろいろ勉強になりました。
それにしても、TINAMIXに関わっていると2週間という単位の短さを思い知らされますよ。
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3月
14日
(tue)
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「ガロ」4月号を読んで分かりました。僕は津野裕子の作品が掲載されていれば、それで「ガロ」には満足なのです。微妙に言い過ぎですが、そう言っても構わないぐらい嬉しい再登場でした。「スイング シェル」はほんの10ページながら、淡いトーンだけが使われた絵と、現実と幻想が柔らかに境目をなくしたかのような物語によって、津野裕子の作品世界がさらに研ぎ澄まされていることを教えてくれます。この物語は性の目覚めの隠喩なのかな…という僕の深読みも邪魔になるぐらいに、透き通った魅力に満ちていました。
腰で身体がつながった姉弟とその家族を描く、大越孝太郎の新連載にも期待。でも「天国に結ぶ恋」というタイトルは早くも不吉ですな。三本美治の「テロル」はコスプレイヤーが主人公なんですが、これって描くにあたって取材したんでしょうか。妙にリアルなのが逆に気になります。キクチヒロノリと逆柱いみりはいつも通りに面妖です。
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3月
13日
(mon)
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なるほどなるほど。はちさんに「痕」について教えていただきました。
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宮沢章夫の「サーチエンジン・システムクラッシュ」を読む際に僕が過剰な期待をしてまったのは、彼が劇作家・演出家であるためでした。エッセイストとしても知られるだけあって、描写過多に陥ることなく心理を浮きあがらせるスマートな文章はたしかに巧みです。
大学時代に同じ「虚学ゼミ」で学んでいた首藤が殺人事件を起こし、主人公はそれをきっかけにかつてのゼミ仲間に連絡を取るものの、そのゼミの講師の名はなぜか他の仲間と一致しません。そして、そもそもそんなゼミが存在したのかも謎に。ある種の不安に突き動かされた主人公は、池袋から新宿へと引かれた赤いチョークをさかのぼり、卒業後一度だけ首藤と出会った風俗店を探して違う風俗店に入り、そこで出会った女と待ち合わせをした喫茶店を探して回り、彼女の部屋のテレビの配線をするために電気屋へでかけ…。何かを回避するかのように記憶は次から次へと過去へと消え去り、時間も地理も曖昧になりつつも主人公は歩みをひたすらに進めます。それが単に思わせぶりなだけなのか、それとも緻密に構成されているのかと聞かれたら間違いなく後者でしょう。最後の最後ですべての伏線は過去の一点へときれいにまとまります。
けれど同時に、「ゼロになりたい」と願う主人公のこの物語は、言い換えてしまえばひたすら実存への問いかけに終始していて、それはあまりにも文学的なフォーマットの中に収まっていました。この作品が芥川賞候補作になったことも、良くも悪くも納得できてしまうのです。この文学的な退屈さを乗り越えるには、僕はまだまだ修行が足りません。
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OUTDEX更新、青木理「日本の公安警察」を「BOOK」に追加しました。
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3月
12日
(sun)
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ロシアから帰国した人が「ラムちゃん」をお土産をくれると言うので、ロシアでも「うる星やつら」が広まっているのかと思ったら、子羊のぬりえ帳でした。たしかにLambちゃん。
ハバロスクでは都市のアパートに住んでいる人たちの方がお金持ちで、郊外の一軒家に住んでいる人たちの方が貧しいそうです。向こうの人たちの生活は大変なの?と僕が聞くと、そもそも私は余裕のある暮らしをしている人にしか会わなかったから…との返事でした。彼女は新体操をしている人なのですが今回のロシア訪問はそれとは関係なくて、仕事でロシアに単身赴任中のお父さんに会いに行ったとか。新体操に使う道具には、クラブ・リボン・テープ・ボール・ロープの5種類があって、その演技を審査されるのが「試合」だそうです。そんなロシアと新体操の話のお礼に僕が彼女に聞かせたのがエロゲー話だったことは、ロシアと日本の遠さを物語っていた…と片付けるのには無理がありますね。
ロシアから帰国した人は、あとほんの少し経ったら、今度は水平線の向こうに北朝鮮の潜水艦が見える町に引っ越してしまいます。そういえば今日の僕らはむやみに高いところに登り、そこから北海道の仲間に電話なんぞしていたので、なぜだか話題はずっと北の方を向いていました。そのうちお父さんからエリートのロシア人との見合いを勧められるんじゃないかと僕が真顔で言うと、彼女は大笑いしてお腹が痛いよと言いながら地下通路の壁に沿ってくるくると身を転がしていて、僕はそれを見ながら新体操の演技ってこういうのかなぁと想像もしたのです。
でも、そのロシアと新体操の人によると僕は虚言癖があるそうで、しかも彼女自身も虚言癖があるとか言うのですから、ここに書いたことも何をどこまで信じたらいいのか僕にも分からなくなってきました。
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3月
11日
(sat)
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「痕」攻略完了。と言っても全部のエンディングを見たわけではなく、四姉妹の各キャラのハッピー・エンディングと、それを見るためにクリアしておく必要がある最低限のバッド・エンディングを見て満足しただけです。そのくせ、僕にとっての最重要キャラである初音だけはハッピーもバッドも自発的に見て、何種類かあるアウターストーリーも全部見たのですが。陰惨な本筋の物語と軽いノリのアウターとのギャップはクラクラするものがありましたが、本編自体でも、ファンタジーっぽくなったり伝奇物語っぽくなったりする展開の多様さあるいは節操の無さに驚かされました。強姦と和姦のバランスは計算されているんですかね。刑事の柳川はやおいテイストを狙っているのかということと、同じく刑事の長瀬がずいぶんとパトレイバーの後藤に似ていることも瑣末な問題ながら気になりました。
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3月
10日
(fri)
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青木理の「日本の公安警察」読了。資金の動きや活動内容が外側からは非常に見えづらい公安警察の、利権の獲得や組織の保身を重視しがちな体質や、ピラミッド型の中央集権体制による弊害などを、時に人間臭い面を浮き立たせながら描く本です。盗聴法・改正住民基本台帳法・ガイドライン関連法・国旗国歌法などが自自公連立政権のもと次々と成立し、国家による治安管理機能が強化されている現状への危機感がこの本が書かれたきっかけだというだけあって、チェック機構が有効に機能していない公安警察に対して本書が提示している疑念はかなり説得力を持っています。
けれど、そうした政治的な意図から離れても、不謹慎な言い方ですがこの本は面白いのです。公安の活動の歴史は、共産党・右翼・左翼・オウムなどとの闘争史そのもの。国松警察庁長官狙撃事件で公安警察官が関与していたことが怪文書で公表されたり、革マル派にデジタル無線を解読されていたりした事件も、この本で改めて読むと公安警察組織の体質に起因する問題点が見えてきます。また、尾行や潜入はもちろん、特に調査対象の組織に内通者を獲得するために、金銭授与によって心理的に対象をからめとるくだりは、もう警察とかいう次元を超えたスパイ小説のようでした。いや、スパイ活動そのものですが。
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3月
9日
(thu)
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今度はkayazakiさんにリーフの96年作「痕」を貸してもらってので、さっそくプレイ開始です。主人公の名前を自由に設定できるという素晴らしくも馬鹿馬鹿しい機能は、まだこの頃はないんですね。
プレイし始めた時には、いまいちキャラに萌えられないから夢中になれないかもな〜と歪んだ基準によって不安を感じたのですが、そのうち高校生には見えない上にランドセル型の鞄を背負っている初音が登場すると、そんな考えも吹き飛びました。そういえば僕のある知人は、「『痕』じゃ初音とやることしか考えてなかった」と語っていました。そいつは女でしたが。
とりあえず最初に千鶴のバッドエンディングまで突き進んだのですが、2度目のプレイでも「見た文章は速く」や「次の選択肢まで進む」が使えません。不安を抱えつつリーフのホームページの「よくある事例とその対処法」を読んだら予感的中。シナリオクリアの情報は最後に保存したしおりにしか書き込まれないって、そりゃあんまりです。ええ、結局キーやマウスをカチカチ言わせながら再びゼロからやり直しましたよ。
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3月
8日
(wed)
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山本英夫の「殺し屋-1-」第6巻と新井英樹の「THE WORLD IS MINE」第10巻を立て続けに読んだら一気に淀んだ気分に。それでもまた読み返してしまうのは、両作品に共通する強烈なキャラ立ちと容赦のない描写のせいです。
日本橋ヨヲコの「極東学園天国」第2巻を読む際には、YOU THE ROCKが昨年発表したアルバム「THE PROFESSIONAL ENTERTAINER」に収録されている「ROCKY ROAD(友情BBS)」をBGMにすることをお勧めします。サントラかと思うくらい合ってるんですから。
気恥ずかしいと気恥ずかしいと繰り返しながらも読んできた、津田雅美の「彼氏彼女の事情」はもう第9巻。有馬のもっとダークな話が読みたい…というのも前に書いたような。
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3月
7日
(tue)
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ずっとナードコアを聴いていました。loopskatersの時に、出番を終えたフクダさんがDJの練習時に録音したテープをくれたのですが、これが無法状態で面白いのです。フクダさんが流したアーティストに関しては曲リストを参考にして欲しいのですが、椎名へきるやジッタリン・ジン、ナウシカやガッチャマンまでサンプリングした楽曲が並んでいて、果ては香港のラップ2人組・軟硬天師まで飛び出してきます。こういうのって、いわゆるMODで作成してるんでしょうかね?
会場で通販を申し込んだtokuさんのCDも送られてきました。ミイラで有名なあの団体関係の音声やヒット曲がミックスされているのですが、音の方はかなり本格的で、機材リストに使用機材がずらりと並んでいるのも納得です。会場で購入した、音くんとネミさんのユニット・NO RESPECTの「触覚」も、飛び道具のようなサンプリングを速いBPMで乱射してくる作品でした。
著作権的に大丈夫かよく分からないので、名を挙げた人たちが何をサンプリングしているのか詳しく書けないのがもどかしいところですよ。
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3月
6日
(mon)
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インディーズ雑誌「エスプレッソ」8号を、チムさん経由で赤坂さんからいただきました。ありがとうございます。山本精一、ジム・オルーク、杉本拓へのインタビューが掲載されているのもすごいですが、音楽そのものの概念にまで迫ろうとするかのような、論理性が重視された原稿の数々に惹かれました。非常に高度であるゆえ僕の理解力の乏しさを痛感させられる部分もありましたが、それでも「エスプレッソ」の編集姿勢は勇猛果敢なものにすら感じるのです。そして、少ない人数で100ページを越える雑誌を編集する熱意にも敬服させられました。
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OUTDEX更新。去年のうちに書こうと思ったまま手付かずだった、木村紺「神戸在住」第1巻と林静一「ph4.5 グッピーは死なない」を「COMIC」に追加。「BOOK」に追加した中村とうよう「ポピュラー音楽の世紀」と松村昭宏写真集「The Cosplayer」ともども、日記の転載ではない原稿です。「small circle of friends」には、アイコノクラズム・玉子倶楽部・
無節操・我思う、故にラーメンを加えました。
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3月
5日
(sun)
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loopskaters終了後は真っ直ぐ帰って、12時には起きて再び外出。かろうじて体力が続いている状態です。
渋谷のタワーレコードで、カーネーションの新作「LOVE SCULPTURE」購入特典のミニライヴ。最初に「恋するためにぼくは生まれてきたんだ」のビデオが流されてからライヴで、新作の曲に加えてはっぴいえんどの「春よ来い」と「はいからはくち」も披露されました。
いつもの人たちがいつものように来ていたので喫茶店で話して時間をつぶし、夕方にはHMVでの青山陽一のミニライヴに。ギターを抱えてヒョイと現れた青山陽一は、客のリクエストに応える余裕も見せていました。歌とギターだけでシンプルに演奏されると、彼の作るメロディーにはすごく張りがあると改めて感じます、変な表現ですが。
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3月
4日
(sat)
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蒲田studio80でloopskaters。会場に着いてみると、9時半過ぎの段階でかなりの人数が集まっているじゃないですか。しかも、壁には毒ドリルさんによるプロレスだの相撲だの古い映画だのをゴチャ混ぜにしたVJが映されていて、もうなんというか本格的にイベントっぽいのです。フクダさんが流した、ジッタリン・ジンの「夏祭り」の回転数アップリミックス(たぶん違法)やナウシカのリミックス(これもきっと違法)はツボでした。ナードコアって面白い。由一さんは「ネットの人がDJやってる」という感じではなく、もう普通に堂々とDJです。スタヘさん&tokuさんは、衣装まで用意してネタ仕込みですよ、おかげで大笑い。マルチの声をサンプリングした無節操な名曲「loopskatersのテーマ」を生で聴けるとは思いませんでした。Ktさんは、最後をFATBOY SLIMで締めてたのがさすがのビッグ・ビート魂。浜崎あゆみとかEVERY LITTLE THINGのリミックスで知られるラムダブダーさんの何がすごかったって、出番の15分前に近くのコンビニで雑誌読んでいたことです。音くん&白木さんは、ラストのみやむーリミックス最高。
いろんな人に会えて楽しくてしかたなかったけど、特に鈴村さん(松尾スズキ似)と北村さんにお会いできたのは予想外で嬉しかったです。僕を恐い人だと思っていたというboolさんは、誤解をとけたようで一安心。のはず。そしてノナカトモさん、あなたは僕らの最終兵器だ!
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3月
3日
(fri)
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「To Heart」、隠しキャラも含めた全キャラクターの攻略を完了しました。もう僕は真っ白な灰です…。とはいえこことここに頼りっきりだったので、燃え尽きたと言える立場でもないんですが。
何度もプレイするとなると当然「見た文章は速く」や「選択肢まで進む」を使うわけですが、特に後者を使った際に絵と文字がすさまじい速さで吹き飛ばされ、ゲームの中の時間感覚も消え去ってしまうのはなかなかドラッギーでした。
あと、「To Heart」をプレイしたと日記に書いたら「とうとうリーフに染まりだしたなゲッゲッゲッ」と多くの人から反応が来てビックリですよ。フクダさんにはDNMLというソフトを教えてもらいました。これさえあればノベルタイプのゲームが自分で作れちゃうらしいんですが、このソウルの熱さにはもう敬服するしかありません。
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3月
2日
(thu)
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「洗練」と表現すると無菌にでもなったかのような誤解を招きそうですが、青山陽一の「EQ」は、やはり洗練の度合いが高まったと言うのがふさわしい仕上がりでした。彼の音楽の場合、その細身+眼鏡のルックスからはにわかに想像できないほど黒さのあるサウンドと、声質とのバランスの取り方が重要なポイントであると思うのですが、「EQ」はすべてが非常にナチュラルに鳴っていて、猥雑さを深くその奥に隠した上でのしなやかさがあります。抽象的な表現だらけであるために聴き手の想像力を刺激してやまない歌詞も含め、本来は同列に並びそうもない要素を吸い込みつつ、飄々と自分の音楽を提示している姿勢も彼の魅力でしょう。その一方、ラストの「Good Aliens」ではゲストにソウルフルなボーカルのポコペンを迎え、正攻法のブルーズ・ナンバーをプレイしているのも清々しいのです。サンクスにJohn McEntireの名があるので、そちらの界隈とのコラボレーションも期待したいところ。
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3月
1日
(wed)
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TINAMIXが2回目の更新をしました。今回の更新では、村上隆さん・リウイチさん・しばたさんの連載コラムと、リポート1本が掲載されています。トモミチさんや僕の原稿は次号以降ってことに。
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2000年になった今頃になって、やっとKF-2さんに借りた「To Heart」をやり始めましたよ。夜中にICQでチムさんに弟子入りして指導を請い、彼女が落ちた後はTAGROさんに攻略しやすいキャラを聞くという有り様です。それにしても、この確信犯的に演出されるベタな青春ムードはたまりません。最初だから攻略法とかを調べずにやってみたら、エロ要素が何も無いままエンディングを迎えてしまい、青春とは無関係の意味で切なくなったりもした第一夜でした。
でも「To Heart」を実際にプレイしてみると、TAGROさんの「To Heart」本の元ネタとか、スタヘさんが自作曲にサンプリングしていたマルチのセリフとか、kayazakiさんがお知らせを「志保ちゃんニュ−ス」と表現している理由とか、伝聞の知識で漠然と理解していたものがリアルに分かるようになって新鮮です。僕らの周囲がこれほど「To Heart」ネタでいっぱいだったとは。同じリーフのソフトである「痕」を以前なかつがわさんに勧められていたのですが、チムさんも面白と言っていたし、そっちにも興味が湧いてきました。
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