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小心者の杖日記@o u t d e x

ピクニック・カレンダー

  テキスト BY ムネカタ
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731日 (mon)

 鶴見済清野栄一著・木村重樹編集・構成「レイヴ力」、はっぴいえんどの関連記事を編集したレコードコレクターズ増刊「はっぴいな日々」購入。

 今日スタートしたYahoo!ミュージックBrian Wilson関連ニュースがふたつ。ひとつはブライアン・ウィルソンのソロ・デビュー作が復活するというもので、ボーナスが15曲追加というのですからアルバム本来の収録曲よりも多くなるんですね。9月27日という発売日は国内盤かな、輸入盤かな? そしてビーチ・ボーイズ トリビュート・アルバムというのも出るそうで、こちらは8月7日発売だそうです。

 OUTDEX更新。富沢ひとし「ミルククローゼット」第1巻・鈴木志保「たんぽぽ1−2−3」・高橋しん「最終兵器彼女」第1巻を「COMIC」に追加、「small circle of friends」にコビトノクニnorinetを加えました。

 
730日 (sun)

 9月6日に発売される中村一義の「ERA」と、8月23日に発売される松田マヨの「夏」を聴いてます。中村一義は内省的な色合いが薄くなって驚くほど外側に向かうエネルギーが強く、音の鳴りの力強さも従来とは段違いです。デイジーの松田マヨのソロアルバムは、曽我部恵一プロデュースの6曲入り。デイジーの作品にあった妙に煮え切らない感じがこのソロアルバムでは見事に消えて、彼女の歌の生々しさと濃密さに窒息しそうです。1曲を除いた全てが彼女ひとりの弾き語りなのが、それに拍車をかけていました。


 
729日 (sat)

 「マンガF」9月号では、雁須磨子の「ワンコインクリア」が一番気に入りました。話自体はそれほど凝ったものじゃないけれど、事件事故に巻きこまれて幸福が崩れてしまうのではないかという不安、幸福だからこそ感じる不安をうまく描いています。やまだないとの「エロマンガのできるまで」は、自分あるいは同業者のスタンスへの批評にもなってるんですね。陰惨さとエロが裏表の松本次郎は、ネタを出し惜しみせずにえらく早く話を展開させています。南Q太の新連載はひたすらラヴハッピー、これからもこの調子? 少女のいじめとSFを融合させたかのような駕籠真太郎の連載が好調です。

 Brian Wilsonの「Live At The Roxy Theatre」を新星堂が通販しています。ネット販売の商品をさらにネット販売。あと、このアルバムに収録されているその名も「Brian Wilson」という曲は、Barenaked Ladiesのものだと今日になって知りました。歌詞には「Smiley Smile」なんて単語も聴き取れます。

 
728日 (fri)

 青山ブックセンター本店には、高橋しんの「最終兵器彼女」第2巻がすでに入荷していました。本編の最初に目次が混ざっていたり、スタッフのクレジットが途中にあったり、カバーを外すと英語のセリフの和訳が書いてあったりと、単行本の構成をさらに好きなようにやっていてすごいもんです。4ページ真っ黒なんていう禁じ手もやっていて、こういうハッタリもそれなりに効果を上げています。ただ、ふゆみ先輩のキャラは安直過ぎる気もするし、兵士もクラスメイトも「いいひと。」だらけで気恥ずかしくもあって、第1巻でのインパクトに比べると少し空気が緩くなった印象は否めません。薬を飲んで無意識のうちに街をひとつ潰した後に、現場の兵士に殺してくれと懇願する「交換日記」(1)・(2)が第2巻の山場です。ちょっと物足りないけれど、描写における凄惨さと暖かさのバランスを高橋しんはかなり計算しているのでしょう。


 
727日 (thu)

 朝、黒澤明の孫娘である黒澤優がコインランドリーの前でヤギを抱いているのを見ました。彼女もヤギもヘッドフォンを装着していたんです。こんなことを書くと、僕が暑さのせいで遠い世界に旅立ったと思われそうですが、妄想じゃありません。なんでも富士フイルムのCM撮影だったそうで、目を伏せてヤギをあやしている黒澤優はちょっと田中麗奈に通じる雰囲気がありました。ユースケ・サンタマリアも来るという話だったのですが、そっちはどうでもいいのでとっとと出社。そして後から黒澤優のサインはもらっておけばよかったと激しく後悔した次第です。教訓、チャンスに際してはミーハーな自分を許そう。


 
726日 (wed)

 安倍吉俊の「NieA_7」は、前後の事情はよく分からないけれど宇宙人が地球で人間たちと共生している近未来らしき世界が舞台。いや近未来と呼ぶには昭和な風情を残していて、主人公のひとりである浪人生の女の子はひどい赤貧状態だったりします。ベタなぐらいのギャグをテンポ良く詰めて読ませるコメディーで、舞台も銭湯だから一瞬ドラマ「時間ですよ」と絡めて語りたくなりましたが無理があるので諦めました。全篇を貫くのは銀シャリへの執着…と書くと冗談のようですが本当にそういう作品です。ただし、安倍吉俊がキャラクターデザンを担当した「lain」の絵柄を期待していると、ラフな筆致に肩透かしを食らうかもしれません。WOWOWで放送されたいたアニメの方は未見ですが、山本麻里安が歌うエンディングテーマ「ヴィーナスと小さな神様」は好きです。あ、今日は彼女のアルバム「お散歩ハウス」の発売日ですな、聴くか迷うところ。


 
725日 (tue)

 Brian Wilsonの来日公演って、僕が観たのは99年7月12日ですからもう1年前なんですね。ネット通販されている彼の「Live At The Roxy Theatre」は、今年4月に収録された2枚組のライブ盤。The Beach Boysのヒット曲を配した構成やバックのミュージシャンは昨年のツアーを踏襲していています。バンドの演奏は非常にこなれていて、特にコーラスは生でやっていることを考えれば見事なもの。ただ、それを危うくするのが当のBrianであるという事実は…。昨年のライブは復帰祝い的な雰囲気もあったわけで、やはりこうして音だけ聴くと声量と音程の不安定さは隠せません。スローな「Kiss Me Baby」ではボーカルがよろけているかのようだし、「This Whole World」はオリジナルにあった完成度への異常なほどの情熱はなく、メロディーを追っているだけのようにも感じられてしまいました。

 しかしDISC 2では調子が出てきたのか、MCではジョーク混じりに自信満々、「Darlin'」でも声に張りが出てきます。そして最大の聴き所では、「'Til I Die」や「God Only Knows」、「Caroline No」といったBrianの自我が崩壊していく時期の楽曲。「Pet Sounds」でのフュージョン臭いサックスソロはいただけないけれど、これらのダウナー系の楽曲には現在のBrianだからこそが持ちうる不思議なオーラが漂っているのです。本人と楽曲の波長が一致しているのかも。「Imagination」に収録されていた「Lay Down Burden」も自然に歌われていて、かつてのヒット曲を歌う時のような無理がありません。そして最後を飾る「Love & Mercy」は名曲にもほどがあります。

 客の歓声も熱狂的というか、本当に熱く狂って叫んでいて盛り上がりすぎなほど。現在のブライアンへの幻想をあまり持たない人は聴いてみる価値のある作品です。

 
724日 (mon)

 木村紺の「神戸在住」は、モノローグがコマの中で絵と同時進行で、あるいはモノローグがコマの外で絵と交互しながら多用されています。かなりモノローグが多い、というかモノローグで進行していると言っても過言ではないわけで、単行本でまとめて読んでみると、もうちょっと絵で引っ張る割合が高くてもいいのではないかとも思えるほどです。でもそうしたモノローグの多さも許せてしまうのは、文学少女的な表現ではあるもののその言葉は徹底しててらいがないから。第2巻では、第13話でゲイの喫茶店店主への興味とそれへの後ろめたさが表現されていたり、第15話で見てはいけないものを見たくなる感覚が素直に語られていたりする点が、彼女の魅力をより深いものにしています。その一方で、あまり感傷的になりすぎないバランス感覚も見事で、だからこそ第14話での「今日はなんだか寂しい」というストレートなモノローグがスッと読む者の胸に沁みてくるわけです。

 素朴なようで作画の技術は意外と高度。枠線は定規を使わずに引いてるのかな。

 何気ない一日の出来事をここまで鮮やかに描写して読ませる技量は、並のものではありません。その時々の会話・表情・感情を忘れずに描き出しているのですから。そして物語はとても季節感に満ちているけれど、別に年中行事に頼らなくても話を生み出せるのですから、木村紺の作品にとっては構造的にネタ切れはありえないのではないかと思えてしまうのです。

 OUTDEX更新。「LoZical Dash」を「EVENT」に追加し、sugar holicLet's go get stoned!を「small circle of friends」に加えました。

 
723日 (sun)

 この数日に購入したマンガは、遠藤浩輝「EDEN」第5巻・木村紺「神戸在住」第2巻・天竺浪人「黒昼夢」・安倍吉俊「NieA_7」第1巻・ 吉田基已「水と銀」第1巻。それに加えて、これまでになく厚い夏コミカタログっていうのもありました。3日目しか行かない予定でもあのカタログの重さに喘がなければいけないとは通過儀礼のようです。

 活字系では、桑島由一「魔法少女リオ 〜コスプレオーバードライブ〜」・魚住昭「渡邉恒雄 メディアと権力」・岡崎祥久「楽天屋」を。由一、リスペクトウェッブにOUTDEXを入れてくれてありがとね。あとその、一応広末涼子「teens 1996-2000」も買いましたよ…。やはり見たことのある写真が多いんですが。しかも付属のCD-ROMは、見ようとするとエラーが出ちまいます。

 ネット通販でのみ流通してるBRIAN WILSONの「Live At The Roxy Theatre」は、KAZZさんが「渋谷のディスク・ユニオンに、ゴッソリありますぜ、フリーク達よ!」と電波を飛ばしてくれたおかげで無事入手できました。ありがたや。

 
722日 (sat)

 LZDさんサイトウさんが、僕としばたさんの誕生会をまとめたやってくれるというので、池袋の芳林堂で待ち合わせ。こんな場所で待ち合わすもんだから、飲みの前だというのに書籍マンガで1万円を使ってしまいました。なんてこった。しかも前夜寝ていなかったので僕は妙にテンションが上がってしまい、2年ぐらいの交流の果てにやっと対面したYASUさんにはすっかり誤解されてしまったようです。「ムネカタさん、面白い」と繰り返すとはどういう意味ですか! hiroさんには「もっとコワモテな人かと思った」と言われたのですが、実際の僕は極めてピースフルな人物だったということですよね。HERSHEYさんは全員に初対面だったというのによく来てくれました。ここうさん六月さんラんさんには9日の「LoZical Dash」でお会いしていたので改めてこんにちは。その主催者でありすっかりモテ野郎となったLZDさん、今夜のキミは輝いてたぜ…。ラんさんはなにが反則って僕の会社でバイトしていると発覚したことだね。

 飲み会の最中に「誰が参加者全員のホームページを書き出すか」と話すのはいかがなものかと思いましたが、もちろんやるのはリンク狂いのこの俺だ!(でもhiroさんにリンクし忘れてたのでさっき直しました。)初めてちゃんと話す人が多かったけどえらく楽しかったです、ありがとうございました。

 
721日 (fri)

 昨日新宿のディスクユニオンで一瞬我が目を疑ったのは、長年廃盤になっていたTHE BEACH BOYSの70年作品「Sunflower」のジャケットを目にしたから。彼らのブラザー音源の再発は今秋以降だと聞いていたけれど、あれは日本盤の話なんでしょう。しかも手にしてみれば71年作品「Surf's Up」も合わせて1枚のCDに収録したものなんですから、迷わずレジに持ち込みました。

 詳しい情報は萩原健太さんのページのPick of the weekをどうぞ。2月ごろに輸入盤が入荷した「BEST OF THE BROTHER YEARS」と重なる曲も多いわけですが、アルバム全体を通しての聴き応えはまた格別です。今聴くと、数年前にまちださんの家で「Sunflower」のアナログ盤を聴いた時の印象とだいぶ違っていたのも驚きました。「Surf's Up」は数年前アナログの輸入盤が入荷した時に購入したものの、なにせ部屋の中がホコリっぽいので聴けないまま。2イン1だとアルバム単位で楽しもうとするには不便ですが、長年憧れていた相手の本当の姿を確かめるように何度も聴こうと思います。

 
720日 (thu)

 新宿HMVでハイポジのストアイベント。新メンバーである犬・ミゼットは足の調子が悪いために欠席で、本来ならサイン会でミゼットの肉球もスタンプされる予定だったというのですから残念でしかたありません。買ったばかりのCDジャケットに肉球というのも現実問題としては複雑なものがあリますが。一緒にステージに立ったのは、新作「性善説」にも参加しているスプージーズの松江潤。ソロ時代のネオアコ少年的な風貌が消えうせて、つなぎを着てヒゲを生やしヤンキーのようになった彼の変貌ぶりは衝撃的でした。そしてこの二人のステージのテンションがまた高いこと。5曲の演奏は突っ走るようでした。

 サイン会終了後、朝木さんMASAさん・ゆうぴぃさんと喫茶店へ。大阪から来た朝木さんも、小川範子のイベントと掛け持ちしたゆっぴぃさんもお疲れさまでしたよ。

 
719日 (wed)

 「月刊アワーズライト」の見本誌が送られてきました。発売は21日、表紙と巻頭カラーは犬上すくねさん。今回のTAGROさんの筆致は黒田硫黄かと思いました。その黒田硫黄や伊藤潤二・水野純子・逆柱いみりといった執筆陣をそろえた「アワーズガール」という少女コミック誌が10月に出るとの告知も掲載されています。編集後記で編集長が、誌名の「LITE」は「Literature」から取ったのだと書いていてやっとタイトルに納得がいきました。

 そして同じページにある目次には書かれていないという今後が思いやられるスタートを切ったのが「BED ROOM DISC JOCKY」という音楽記事です。イラストとデザインは小石川ふにさん。彼女の素敵なアートワークに負けないように頑張ります。立ち読みしようにも目次から探せないんで、もう買っちゃってください。

 
718日 (tue)

 「MUSIC MAGAZINE」8月号でYOUSSOU N'DOURのライヴ・レヴュー、「UNGA!」NO.071でカジヒデキと嶺川貴子のCD評を書いてます。

 ヒライワさん、お、落ち着いて!

 というわけで、今週から事務所制作のオフィシャル・サイトもスタートした広末涼子の写真集「teens 1996-2000」「Happy 20th Birthday ヒロスエ、ハタチ。」の2冊同時発売日でした。「teens 1996-2000」は売り切れのようで入手できなかったのですが、水着初公開という振れこみの「Happy 20th Birthday ヒロスエ、ハタチ。」さえ持ち帰れればさして問題ではありません。ところが一気に水着解禁かと思ったのに、この期に及んでまだビキニの上からジーンズなんて履いていて、完全な水着姿は水中のものだけで誤魔化されているという有り様です。「いいかげん見せやがれ! つーか見せて! お願いだから見せてください!」と泣き崩れることはありませんでしたが、落胆させられたことは間違いないのですよ。

 それでもただ広末涼子がいるだけで圧倒的な存在感を生むことには変わりなく、しかし彼女に対してファンが幻想を抱ける余地が確実に狭まっているのも事実です。そうなれば単なる笑顔だけではなく、彼女が時に見せる色気や翳りにより焦点を当てて彼女の魅力を訴えようとするのは必然であり、身体のパーツを接写する手法などは特に東京で撮影された写真に散見されます。そこではナチュラルさとあざとさがギリギリの線で同居しているわけで、ファンはそれに翻弄される自分を受け入れるしかないというある種マゾ的な愉しみ方をしているのかもしれません、というのは単に後付けで考えた理屈なんですけどねー。

 
717日 (mon)

 同じ系列にあたる韓国の会社からうちの職場に視察が来ると聞いてちょっと緊張していたら、20代と思われる女の子5人が韓国海苔をお土産にしてやってきました。そして日本人と韓国人のコミュニケーションに使われるのは英語なわけで、みんなで食事に行ったはいいけれど、簡単な単語しか使えず「YA!」とか言ってる自分に辟易されられます。しかしそんな調子が一気に崩れ出したのは、相手側のひとりから「ベルセルク」という単語が出てきたあたりから。さらに「まんだらけ」とか「カレカノ」とか予想もしていなかった言葉が飛び出してきたのですから、こちらも英語の崩れなど忘れてエキサイトしてしまいました。7月の東京は暑すぎたようだけど、空気はスモッグがないぶんソウルよりマシだそうです。韓国の名刺は日本のものより幅が狭いのですね。

 OUTDEX更新。米原康正編「OUT OF PHOTOGRAPHERS」を「BOOK」に追加し、AOYAMA Yo-ichi and The BMs' Home Pageを「small circle of friends」に加えました。

 
716日 (sun)

 エグいぐらいの歌謡曲テイストを予想していただけに、クレイジーケンバンドの「ショック療法」を聞いた時にはその洗練されたサウンドに驚くと同時に拍子抜けした気分にもなりました。どの曲もソウルやボッサを見事に消化していて、インストの「ショック療法」や「BOMB! CUTE! BOMB!」になるとジャジーにしてクールなこと極まりないのです。そうした洒落た音楽性と下世話な歌詞とのバランスが「コロ」などでは引っ掛かる部分もあったのですが、和田アキ子が歌ったらハマりそうなファンク歌謡「たすけて」あたりになると違和感も吹き飛んでしまいます。ラストの「おとなのおもちゃ」に至っては、サーフ・サウンドが音頭と融合して横浜で土俗化したような曲でした。ヤンキーの土着性が渋谷に流れ込んでしまったかのような音楽で、こりゃライヴで聴くとさらにすごいのかも。

 発売は小西康陽のインディーズ・レーベルである524 recordsからで、進藤三雄が手掛けたアートワークは、ハイポジの「グルオン」と同じ形態の紙ケースで力が入りまくってます。

 かちゃくちゃくんのネット活動再始動により、気がついたらピクニック・カレンダーに新しいネタがドバッと入荷していました。ナンバーガールとか眞鍋かをりとか。

 
715日 (sat)

 28歳を迎えたのは、渋谷の飲み屋で会社の人たちと。午前1時過ぎに帰宅してメールをチェックしたら何通もメールが届いていたのがとにかく嬉しかくて、僕はそういうことに無邪気なほど喜べるままでいようと思います。祝ってくれた人も、そうでない人も、今日のことを覚えていたけれどあえて何もしなかったであろう誰かにも、ありがとう。生きまーす。

 お名前
 
 メールアドレス
 
 メッセージ
 
   
 この期に乗じてたまにはメールフォームでも。面倒くさがりのあなたへ。無駄話もどうぞ。


 
714日 (fri)

 失恋や死といった別れを受け入れること、そして孤独の中でも人とのつながりを見失わずに生きること。おかざき真里の短編集「バスルーム寓話」は、そんなテーマを抱えた作品が収められていて、単に感傷を描くのではなく、苦しみながらも自分の傷を真っ直ぐ見つめる視線が読む者の胸を震わせます。そして、非現実的な設定がもたらす違和感を最後には感動へと変換してしまう手腕にも驚かされました。デビュー作である「バスルーム寓話」の終盤で、かつての恋人への愛情を、腐った魚やしけった花火に投影しているのが胸に痛くて痛くて、それはつまり僕が共振してしまったということなのです。


 
713日 (thu)

 渋谷クアトロで青山陽一のライヴ。こなれたThe BM'sの演奏の味わいはやっぱりたまらないなぁ。夏向きの曲を集めた部分が、ガーッと暑苦しく攻めるのではなくメロウな雰囲気だったのも青山陽一らしいです。「Quick Talk」と「Seed Song」の曲間がインプロビゼーションっぽかったのも新趣向。ブルーズ汁を吹き出しまくる「曲がる曲がる」では、いないはずのブラスの音色が聞こえてきたほどでした。

 それにしても今日の客の盛りあがりはすごくて、2度目のアンコールが終わっても続く手拍子に、遂には3回目のアンコールが。メジャーデビュー前より客も増えてたし、青山陽一を取り巻く状況が少しづつ変化しているのを感じました。あとは、猥雑だけれど洗練されたセンスの彼が、いかにして今夜カバーしたTRAFFICの「SHOOT OUT AT THE FANTASY FACTORY」のような下世話なほどのキャッチーさを獲得できるかが焦点でしょう。

 終演後、最近とある掲示板でやりとりをしていた高橋健太郎さんと8年ぶりぐらいに会えました。

 
712日 (wed)

 キリンジのジャケットって、新しいか古いかという次元を超えたひねりがあって面白いですな。新しいマキシ「君の胸に抱かれたい」のジャケットは…何かの暗喩でしょうかね。そのタイトル曲は、もう出だしの4秒ぐらいで心浮き立つポップチューンで、記号的なフレーズを組み込んでいるのに瑞々しい歌詞には、引き出しの多さを見せながらも職人的ではないという彼らの個性がよく分かります。それはメロディーやアレンジに関しても同じこと。一方、カップリングの「サイレンの歌」で歌われているのは抽象的な世界で、「君の胸に抱かれたい」のイメージからヒョイと身をかわしてみせるかのようです。そしてハーモニーの美しさと、終盤の盛り上げ方とまとめ方のうまさといったらありません。最後のインスト・ナンバー「Shurrasco」は、デジタル・ニューオリンズ? 彼らの楽曲としては珍しいほど打ち込みが前に出ているトラックで、この妙な融合の手法にはちょっと興奮してしまいました。


 
711日 (tue)

 「ガロ」の白井さんに渋谷の行きつけの喫茶店を教えてもらいました。人気の少ない喫茶店で密談する男二人。8月号も買ってるのに忙しくてロクに読めないままですいません。

 キリンジの「君の胸に抱かれたい」はまだタワレコに入荷してなくて、フィッシュマンズの「ORANGE」だけ購入。ここ数日は彼らのライヴ盤「98.12.28 男達の別れ」ばかり聴いているのですが、そのDISC 1の最後を飾っていた「MELODY」のオリジナルはこのアルバムに収録されています。何度聴いても切ないというか聴けば聴くほど傷を深めるような曲で、聴いているだけで自傷行為をしている気分に。「忘れちゃうひととき」からHOPEちゃんは日記のタイトルを持ってきてるんだね。「MY LIFE」もポップでいいけど、アルバム全体で幸せのはかなさが歌われているので、あんまりこのアルバムと波長が合うのも辛いのです。でも聴いちゃうんだな。

 昨日書き忘れましたがOUTDEX更新。デートコース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデンのライヴリポートを「MUSIC」に追加し、「small circle of friends」にあまちゃづる三昧小石川ふにュる館B.C.Dを加えました。

 
710日 (mon)

 盟友・日本橋ヨヲコさんへ。やっぱり現実ってやつは僕らの頭上を飛び交う銃弾のようなもので、それは思わぬタイミングと勢いで突っ込んでくるから困ったものですな。かすかな希望は裏切られるために存在しているようなもので、悪い冗談のような出来事が平気で起きるから人生は疲れてしかたありません。そして本気でいたからこそ深く想いが残るのは当然のこと。それでも多くを語らぬあなたの去り際に、少なからぬ読者があなたの生き様を読み取ったことでしょう。

 なんていうかさぁ、少なくてもあなたがマンガを描いている間は、僕も恥をさらしながらでも生きてみることにするよ。「極東学園天国」の連載、お疲れさま。

 
79日 (sun)

 LZDさんLoZical Dashなるイベントを主催するというので、渋谷bar SHIFTYへ駆けつけました。ゲーム系のイベントらしいということしか知らなかったので、会場にいきなり人が充満しているのを目の当たりにして驚かずにいられません。恐るべしゲーマー。薄暗い中にサイトウさんを見つけた時には安心してしまいましたよ。そう広くない会場はダンスフロアと休憩スペースに分かれていたのですが、DJが回しているフロアには明かに人が詰まりすぎていて、異常な暑さのせいで10分も踊っていたら汗ダラダラに。ところがこの時はまだ空いていたのだと、ライヴが始まった時点で知ることになったのでした。

 ライヴの時には人が押し寄せて壁になり様子が見えやしませんでしたが、DJブース脇まで行って覗き込むと、LZDさんたちがCDJを操作している一方で、ひとりがパソコンを操作しているのが見えました。壁にはパソコンの画面が大写しにされています。つまりパソコンでBM98による音ゲーをしながら、そこにDJが曲を流し、両者が交互に曲をつなげていくというスタイルの「ライヴ」だったらしいのです。最初は一体何をしているのかさっぱり見当がつきませんでしたが、リズムがズレる場面もみせつつ展開されるプレイの面白さに引き込まれてしまいました。時々客が一気に盛り上がるのが、ゲームの操作と流される曲のためらしいと分かったのは終盤になってから。ただし、この説明もライヴ終了後にLZDさんから聞いた話を僕が聞き間違えている可能性もあるのでご注意を。そのぐらい僕が持っていた「ライヴ」や「DJ」の概念からはみだしていて、それゆえにとてもスリリングだったのです。

 それにしても、入場者数がなんと100人を越えたというのですから、音ゲー人口の多さを思い知らされます。そして、1回目にしてここまで客を集めたLZDさん、これからガンガンにモテてくださいね! あと俺のイベントにも来い!

 
78日 (sat)

 拝啓、佐藤伸治様。こちらの現実は相変わらずで、地道な努力で得た気になっていた自信と希望は嘲笑うかのように粉々にされ、覚悟していた以上に残酷な事態を当然のような顔で押し付けられます。時々こんな残酷な現実があるはずはないと思いますが、しかし自分はこの世界で息をするしかなく、現状を真正面から見据えるなら生き地獄としか言いようがありません。けれど、誰もが最後には自分のエゴを押し通して生きていかねばならないのだとしたら、責める相手など僕は持たないのでしょう。

 土佐有明さん主催のイベント「新高円寺ナイトクルージング〜フィッシュマンズに酔う夕べvol.2」のためmarbletronへ。入場したらちょうどGOMES THE HITMANの山田稔明がフィッシュマンズの曲を歌っていて、会場を見渡すと彼のファンとおぼしき洒落た女の子だらけでちょっと逃げ腰になりかけました。それにしても広くて椅子が40ぐらいはある素晴らしい雰囲気の店で、そこでダブっぽい曲をゆったりと聴くのは気分が良かったです。今まで電話で何度か話していたものの土佐さんとは初対面で、忙しいのに相手をしてくれてどうもでした。marbletronの関口さんにはイベントで会場を借りるかもしれないので、これからもよろしくです。

 拝啓、佐藤伸治様。誰とも話さずにただ音楽に身を揺らしているだけの時に流れてきたあなたの「帰り道」に、僕は情緒まで激しく揺すぶられてしまいました。そして改めて思うのです、あなたの音楽は現実のあらゆる葛藤を中和するものだったと。その音楽家として類稀な才能は、ひとりの人間にとっては重すぎる現実に向かい合っていたために生まれたものだろうと。

 新高円寺を出て吉祥寺へ。Travelin'by Magic Carpetの会場である吉祥寺warpへ着いたものの、定刻を過ぎても開場にならないと思ったら、機材関係でトラブっているとか。スタートが30分遅れたけど、そんなトラブルを乗り越えたDJのみんなご苦労さまでした。僕が仕事で疲れていたために、最後までいられなくて残念。

 拝啓、佐藤伸治様。あなたがこの世から消えてから、僕はあなたの死に関してある噂を聞きました。僕にはその真偽を確かめる術はありません。ただ、あなたが音楽も含めた自分を取り巻く全てに絶望したのだとしたら、いつか僕も同じように自分を取り巻く全てに絶望する時が来るのかもしれないと恐ろしくなります。そのくせ、今の僕はもっと絶望を知るべきだと考えているのですからお笑いです。苦しみの中で希望を捏造し、己の境遇に甘える隙を見出す余裕など、もういくらもないことを知っているのに。

 来週の土曜には、あなたが「帰り道」を収録したアルバム「ORANGE」をリリースした時と同じ28歳に僕もなってしまいます。

 
77日 (fri)

 平澤さん、徳間ジャパンの荻原さん、「COOKIE SCENE」の和田さんと飲み。マンガの話をするはずが、荻原さんがいきなり声優雑誌を何冊も持ってきた時点で方向性が変わってしまいました。気がつくと僕は山本麻里安について夢中で語っていて、見かねた荻原さんに「DVD VOICE ANIMAGE」Vol.1をもらってなんとか落ちつく始末。一瞬何の集まりだか分からなくなるところでした。初めてお会いした和田さんは精悍な若者でしたが、彼も「COOKIE SCENE」名物の極小級数文字校正をしているそうなのですから、音楽雑誌の現場は厳しいと思い知らされます。そして、その苦労に思いを馳せる間もなく酔いつぶれてしまってすいませんでした…。


 
76日 (thu)

 ネットの話とお互いの仕事の話を絡めつつ、大学時代からの友人で現在はアスキーにいる鈴木さんと渋谷で食事。Q-FRONTのTSUTAYAの中にマンガコーナーがあると教えてもらい、大部分がビニールでパックされていないその品揃えに、知るのが遅すぎたと後悔しました。そんなわけで、日本橋ヨヲコ「極東学園天国」第3巻、山本英夫「殺し屋-1-」第7巻、新井英樹「THE WORLD IS MINE」第11巻を購入。同じ渋谷にあるCOMIC STATIONやまんがの森、パルコブックセンターよりも営業時間が長くて便利そうです。


 
75日 (wed)

 一冊の中でこれだけテンションの高低に差があるとは、さすがに桜玉吉です。「幽玄漫玉白書」第3巻では、プロザックを摂取した状態でマンガを描くとどうなるのかという貴重なサンプルまで見せてくれています。それを読む限り、生身でもがき苦しんでいる時の方が明かに面白いのですから、マンガ家というのも因果な稼業です。その次の回では、思いっきりつげ義春のパロディーをしているわけですが、そんないまさらの手法がにピッタリ彼に合ってしまっていて、微妙にせつなさを含みつつ可笑しくてしかたありません。もう笑うしかないというか。取材モノや墨絵モノもあって、後半に行くほど復調している印象でした。

 それにしても、桜玉吉がバツイチだったとは…。これは洒落にならんほどせつない話です。

 
74日 (tue)

 小石川ふにさんとブツの受け渡しなどを兼ねて渋谷でちびちびと飲み、激しい雨と雷が収まるのを待ちました。ふにさんは、7月21日に少年画報社から創刊される月刊誌「アワーズライト」に連載される「BED ROOM DISC JOCKY」という音楽記事の連載で、ページデザインとイラストを担当するそうです。本文を書いている誰かも、とっても気合を入れたらしいですよ!


 
73日 (mon)

 「MANGA EROTICS」から分家した月刊誌「MANGA F」は、巻頭カラーで松本次郎が70年代でベトナム戦争でドラッグで行きずりのセックスですよ。ささくれてただれたこの感覚は、絵とすごく合っていて今後を期待させます。山本直樹のいいセリフは、「あああああああああああああああああああ。」です。福山庸治は、17歳が起こす事件にちょっと軽薄に反応しすぎじゃないかと思いますが、もっと不気味にサイコを徹底させてくれると面白いかも。安田弘之は淡々とした描写が巧いもんです。駕籠真太郎は、エロ抑え目でSFしちゃってます。彼の他の作品もある意味でSFといえばそんな気もしますが。あ、米原康正が「エロフォト」なんて身も蓋もない企画を。田村マリオは、少女を描く時だけ意図的に線が少ないのがいいな。最後のどんでん返しが効果的なのは橋本マモル。前の作品といい、カッチリと構成をする作家ですね。そして、電車の座席で目の前にした女の脇の下に自殺する気持ちが吹き飛んでしまうという山口綾子の作品は、その視点とそれをマンガにしてしまう感覚が異彩を放っています。やっぱすごいや、この人。というわけで、山口綾子・橋本マモル・田村マリオという3人の若手の新作を読めたのがこの雑誌での収穫でした。

 OUTDEX更新、ともさかに好きだと言ってくれ古い日曜日マンガびとを「small circle of friends」に追加しました。僕が説明するのも変ですが、内容のみならずページ構成も特異な「ともさかに好きだと言ってくれ」はトップページの一番下からコンテンツに入れますんで。

 
72日 (sun)

 ともに20日にコロムビアから発売される、hi-posiの「性善説」と野宮真貴の「miss maki nomiya sings」をリピート。

 新たに犬のミゼットが加入した(事実です)hi-posiは、近作でも最大の衝撃度で、もりばやしみほのテンションが高過ぎます。「house」を出した97年頃、音楽に興味がなさそうだったのが嘘のような変わりぶりでした。

 野宮真貴は、小西康陽から離れても相変わらず野宮真貴。どんなサウンドをまとってもとにかく野宮真貴であり続けるその姿は、確信と無意識のバランスがスリリングです。

 
630日 (fri) - 71日 (sat)

 一週間働いた後にオールナイトでDJは辛いや〜と言うヒマもなく、lion KINGの当日になってしまいましたよ。会場はおなじみのマニュエラ・カフェで、あえてロック主流を外そうというユウタくんの狙いに沿って(一部例外あり)、シバタくんタロウくんトモミチくん・ユウタくん・僕の各DJが嫌というほどキャラの立った選曲をすることになりました。特にトモミチくん、来られるかどうか分からないとギリギリまで心配させておいて、来たらヘヴィメタを流すのは反則にもほどがあります。

 で、僕の選曲は以下のような感じでした。

SET 1
1篠田昌己我方他方
2大友良英七人の刑事 PLOT-2
3TIPOGRAPHICA裸のランチ
4梅津和時RUBBER BAND
5JOHN ZORNTAHAH
6NRG EMSEMBLEHOLD THAT THOUGHT
SET 2
1BOBBY CONNTHE WHISTLER
2CAETANO VELOSODOIDECA
3坂本龍一STEPPIN' INTO ASIA
4STEVE REICHAMERICA-BEFORE THE WAR
5ヤン富田C-YA! 〜 MEMORIES OF TAPE RECORDER
6STEREOLABOUTER BONGOLIA
7TERRY RILEYIn C

 SET 1ではフリー・ジャズというかアヴァンギャルド・ジャズを、SET 2では現代音楽やその影響下にある楽曲を選んでみました。アンチ・ロック!

 自分の2度目のDJの後にダウンして寝ていたのですが、起きたらDJバトルに突入していて、ハルヲさんがフランク・ザッパを流したのに対抗してトモミチくんがその日2回目のスティーヴ・ヴァイを回すという困ったバトルが繰り広げられていました。

 そんなわけで非常に疲れましたが、友達がたくさんお客さんとして来てくれて嬉しかったです。特に僕と同姓の縁もあって会いに来てくれた宗像さん、今度家系図を見せ合いましょう。

 最近は自分の生活の中で変化が激しくてグッタリすることもあるんですが、たまにこういうイベントがあると人生が活気づく気がしますよ。この感覚、忘れないようにしないと。皆さんありがとうございました。

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日記猿人
 


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